今年の「BASELWORLD 2010」でタグ・ホイヤーは、自社開発のムーブメントを搭載した「カレラ 1887 クロノグラフ」や、調速機にひげぜんまいを用いない機械式時計のコンセプトモデルなどを発表した。

カレラ 1887 クロノグラフは、タグ・ホイヤーの代表的シリーズである「カレラ」に、昨年12月発表の自社開発ムーブメント「キャリバー1887」を搭載した新モデル。創業者エドワード・ホイヤーが1887年に特許を取得した、クロノグラフの構成部品のひとつである振動ピニオンを最新の技術で改良し、スタートボタンが押されてから計時が始まるまでの時間を一般的なクロノグラフにおける5/1,000秒~6/1,000秒から約2/1,000秒に短縮した。また、ボタン押下時の針のジャンプも抑え、よりスムーズなスタートを実現している。

自社開発ムーブメントを搭載した「カレラ 1887 クロノグラフ」。振動数は28,800回/時で、インデックス外側の目盛りは1/4秒

デザイン面では、細く仕上げられたタキメータースケール付きのベゼル、インデックス外側に配された夜行塗料、6時位置のインダイアル内に設けられたデート表示などが特徴。文字板色のバリエーションはブラックとシルバーの2色で、それぞれにステンレススチールのブレスレットタイプとアリゲーターストラップタイプのモデルが用意される。7月発売予定で価格は42万円(予価)。

ブレスレットのS字型コマにより装着感を高めた「リンク」シリーズでは、インデックスに初めてローマ数字を採用しよりエレガントなイメージを演出した「リンク自動巻クロノグラフ タキメーター エレガンス 限定モデル」が登場。世界限定700本で、価格は36万7,500円。

アイルトン・セナが愛用した「S/el」シリーズの後継でもある「リンク」に、初のローマ数字インデックスが登場

また、昨年コンセプトモデルが展示されていた「モナコ 24 クロノグラフ」が、世界限定1,000本のスペシャルモデルとして商品化された。ショックアブソーバーを内蔵したチューブによって、ムーブメントがケース内に浮かぶように保持することで、衝撃や振動の影響を抑えている。その独特の構造を見て楽しめるよう表裏の両面がシースルーになっているほか、映画『栄光のル・マン』でスティーブ・マックイーンが乗り込んだポルシェ917Kのオマージュとして、文字板にはガルフカラーのストライプが配されている。

ケース内部でショックアブソーバーがムーブメントを支えている構造が見える「モナコ 24 クロノグラフ」

今年のコンセプトモデルとしては、振動子に磁石を用いることにより、ひげぜんまいを用いない調速機を採用した「グランドカレラ ペンデュラム コンセプト」が発表された。ひげぜんまいは重力の影響による時計の向きに応じた形状のひずみや、熱膨張などが避けられないが、ばねの復元トルクの代わりに磁力を利用することで、そのような問題が解決されるという。今後、温度変化に対する安定性などをより高め、将来のハイエンドモデルにこの技術を採用していく意向だ。

ひげぜんまいの代わりに磁気振動子を搭載した「グランドカレラ ペンデュラム コンセプト」。振動数は43,200回/時にも上る

製品名 発売時期 価格
カレラ 1887 クロノグラフ 2010年7月 42万円(予価)
リンク自動巻 クロノグラフ タキメーター エレガンス 限定モデル 2010年3月 36万7,500円
モナコ 24 クロノグラフ 2010年12月 126万円(予価)