米Appleは8日(現地時間)、米カリフォルニア州クパチーノにある本社で開催されたイベントにおいて、次期モバイルOS「iPhone OS 4」のプレビューを行った。開発者向けのベータ版配布は本日から行われ、今夏にiPhoneならびにiPod touch向けの正式版が提供される。なお、iPad向けについては今秋の配布予定となる。
速報の通り、iPhone OS 4ではマルチタスク対応など、多数の機能アップデートが施される。マルチタスク対応により、ユーザーは別のアプリで作業をしつつ、バックグラウンドでインターネットラジオを流したり、Skypeでの待ち受けやカーナビゲーションを動かしたりなど、複数の作業を同時進行で進められる。この他の新機能としては、ホーム画面上の複数のアプリアイコンを1つにまとめるフォルダ機能、ロック画面だけでなくホーム画面の壁紙も変更する機能、複数アカウントを束ねられる統合メールボックス、iPhone版電子書籍アプリiBooks、SSL VPN接続など企業向けのセキュリティ機能強化、マッチメイキングやソーシャル機能を備えたゲーム向けサービス「Game Center」などがある。
またマルチタスク対応と並び、今回の目玉の1つが広告プラットフォーム「iAd」の発表だ。iAdについてはAppleが買収した米Quattro Wirelessの技術をベースにしているとされ、TVの動画広告とWeb広告のインタラクティブ性の両方を兼ね備えたものとなっている。
一般に、今日のアプリ内広告ではユーザーが当該広告をクリックして広告主サイトへジャンプすると、広告掲載元アプリの動作内容の保証や、クリック直前の状態への復元が保証されないことが多いが、iAdではアプリ内でフルスクリーンビデオやインタラクティブコンテンツ(例えばミニゲームなど)を展開することで、アプリの動作に影響を及ぼさない点が特徴となっている。
またアプリ内広告で映画情報を出した際に、現在その映画が上映中の場所を地図サービスで指し示したり、さらにプロモーション用アプリのダウンロードを促したりと、多機能なスマートフォンならではの仕掛けも用意されている。広告販売や運営管理はAppleが担当し、アプリ開発者らはiAd売上のうちの60%を受け取れる仕組みとなっている。
iPhone OS 4プレビューイベントでは、このほかBluetoothキーボードのサポートやビデオ撮影時のタッピングによるオートフォーカスなどの機能も紹介されている。また速報にもあるように、iPhone OS 4のフル機能を利用できるのはiPhone 3GSおよび第3世代iPod touch(2009年後半以降の32/64GBモデル)のみで、iPhone 3Gおよび第2世代iPod touchはマルチタスキングなどが非サポートとなる。
イベントの詳細レポートは、追って掲載します。