桐野夏生のベストセラー小説を映画化した『東京島』(篠崎誠監督、2010年夏公開)の完成披露記者会見が7日、東京・銀座のメゾン・エルメスで行われ、主演の木村多江、共演の窪塚洋介、福士誠治が出席した。
同作は、無人島に漂着した43歳の主婦・清子(木村)と、清子を取り巻く23人の男たち(窪塚、福士)が繰り広げるサバイバル劇で、極限状態での人間の欲望を描き、作品に共鳴したフランスの高級ブランド・エルメスが邦画と初のタイアップ。古地図を解体し再構築した図を描いたという"カレ"(スカーフ)が、目的地にたどり着けない迷わせる地図という映画の象徴として、劇中、色鮮やかに登場する。
島からの脱出を試み、生き抜く強さを持つ女性を熱演した木村は、「原作を読んで、なぜこの役がわたしなんだろうって思いました。"薄幸"でネガティブなイメージの役が多いのに、(清子は)非常にポジティブな女性なので(笑)。でも、島に行ったらわたしも生きるために本性がむき出しになると思う」と心境を明かし、「何にも例えられない、無国籍で、ジャンル分けもできない本当に新しいタイプの映画。女性は共感できる方が多いと思いますし、男性がどういうふうに見るのか興味深いですね」と作品をアピールした。
「最初にいただいた脚本が"ライト"だったので、もう少し原作に近いキャラクターにしたいとプロデューサーと話して、脚本を変えてもらいました」と、役作りにこだわりをみせた窪塚 |
清子の3番目の夫・GMを演じる福士。「人間の心の動きが面白くて、何度も見たくなる映画。(GMは)とってもあったかい瞬間と、とってもムカつく瞬間があるので、そこが見どころですね(笑)」 |
撮影は昨年10月から40日間、沖永良部島と徳之島で行われたが、23人の男の中で唯一、清子に敵対心を持つワタナベ役を演じる窪塚は、「撮影の合間に車を借りて島を回ったのでコーディネーターができるぐらい詳しくなりました」と滞在を満喫した様子。また、旅行に手放せないアイテムを問われると「何でしょうね~。パッと思い浮かばないんで後でメールします(笑)」と持ち前の口調を披露し、さらに「初めて海外旅行に行ったときに、友達に『印鑑を持って行け』って騙されました。いつ使うんだろうって思ってたんですが、最後まで使わなかったですね(笑)」と旅にまつわるエピソードを打ち明け、会場の笑いを誘っていた。
映画『東京島』は、2010年夏にシネスイッチ銀座ほかで全国ロードショー。