FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。本日はRBAが政策金利の25bp引き上げを決定。その後発表された声明文でも豪経済成長に自信を示し、今後も引き上げに含みを持たせたことから豪ドルが対主要国通貨で上昇した。この動きを受け、相対的にドルは下落基調となったが、対豪ドル以外では利益確定の売りといった側面が大きく、市場のリスクテイク嗜好は変わらずといったムードが漂っていた。
一方、東京株式は、ドル円が若干円高へ振れたこともあり利益確定が優勢となるも、米中の景気回復を背景にした強気基調は依然として根強いとの声も聞かれた。
本日よりイースター休暇明けのロンドン勢が戻ってくる。週末の米雇用統計や昨日のISM非製造業の結果を十分吟味する時間はあったはず。そのことを背景にした強気の姿勢で臨んでくるか、リーマン・ショック後の水準を回復後、常に高値警戒感がつきまとっていることから、東京市場同様にまずは利益確定が優勢となるかが注目される。それを見極めるポイントのひとつが、商品相場と思われる。
為替市場ではRBAが政策金利発表後、豪ドルが対ドルで0.9160台から0.9220台まで一気に上昇したことをきっかけにドル安が進行。これによりWTIは86ドル、スポット金価格は1120ドル台を維持する状況が継続している。特にWTIは、前日に17カ月ぶりの高値水準を記録していることもあり、エネルギー関連株での上昇が期待できる。また、中国での力強い経済成長が3月のサービス部門PMI指数でも確認され、それを支える資源需要、特に銅の需要が更に高まるとの期待観測も根強く、銅鉱山開発を中核事業として位置付けているエクストラータ((XTA.L)といった株価が物色される可能性も出てくるか注目したい。
余談だが、エクストラータは日本の電力会社との間で発電用石炭価格を1トン=98ドルで決定したとの報道が流れている。前年度の価格が70ドル前後であったことを考えれば、アジアでの需要拡大は今後も強まることが考えられる。
為替市場に関しては、欧州タイムで主要な経済指標の発表予定がないことから、基本的には株式主導で動くと思われる。
その後NYタイムに入るも、欧州タイム同様に主要な経済指標の発表予定がないことから、昨日のトレンドが引き継がれるかが序盤の焦点となろう。
昨日発表された米ISM非製造業指数は55.4と今年1月より景気の拡大と成長の分岐点である50.0ポイントを連続で上回っている。内訳を見ると、特に新規受注が、55.0から62.3と伸びが顕著に見られた。これは将来、米企業の設備投資が活発化するとの見通しを喚起させる可能性が高く、製造業はもちろんだが企業間取引の活性化から金融機関の収益獲得機会も増えるとの観測が台頭すれば、幅広い銘柄での物色が期待できよう。
また、資源価格高騰によりエネルギー企業のポジティブな影響、米アップル(AAPL.O)が発表した『iPad』関連での新規事業やスマートグリッド関連といったテーマ性にも事欠かないため、米株式市場は引き続き上値の追いの展開が期待される。
米景気回復を背景に株式が上昇すれば、長期金利はそれを反映し4.00%の水準を突破してくる可能性もある。そうなればFRBとしても更なる出口戦略の模索を考える公算が高まり、ドル高を誘発する可能性がある。特に、豪ドルの上昇により、対円やユーロではある程度のポジション調整も進行しており、そういった観点からも本日の株式の動向には注視したい。
また、本日はFOMC(連邦公開市場委員会)議事録が27:00に発表される。今回の内容には3月の米雇用統計の内容は含まれていないが、それ以前から米製造業回復を背景にした雇用情勢の回復期待感は出ていたため、どの程度考慮されているかが焦点となりそう。仮に雇用情勢回復に自信を示すようなら、上記の出口戦略が具体性を持つだろう。
尚、ファンダメンタルズは上記のように強いが、FRBが注視している米SPX500種株価指数をチャートで見れば、1月の調整終了後の上昇スピードはあきらかに速く、1200ドルの心理的水準で上値が重くなりつつあるのが気がかりだ。
東京マーケットでも地合いは強いものの、利益確定売り優勢の展開となっており、欧州株式でも高値警戒感から同様の展開となれば、米株式も一度反落する可能性を考慮した方がいいだろう。ただし、ファンダメンタルズを反映した下落でないため、ある程度リスクポジションの利益確定売りが終了すれば、あとはテクニカルポイントで反転する可能性がある。