萩原浩の同名人気小説を映画化した『誘拐ラプソディー』が3日に公開初日を迎え、東京・新宿の角川シネマ新宿で高橋克典、船越英一郎、哀川翔、林遼威、榊英雄監督が舞台挨拶を行った。
『誘拐ラプソディー』は、仕事も金もなく、ツキにも見放されて、あるのは借金と前科だけという主人公・伊達秀吉(高橋)が、人生最後の一発逆転を賭け、家出少年・伝助(林)を誘拐するというもの。身代金受取に成功し、完全犯罪成立かと思われた矢先、伝助がヤクザ・篠宮組の組長(哀川)の息子であることが判明し、篠宮組に命を狙われる身となった秀吉。さらに、総力を挙げて秀吉を追う篠宮組の動きを察知し、黒崎刑事(船越)ら警察も動き出し……。
本作で主演を務めた高橋は、本作について「満開の桜とともに、素敵なあったかい作品ができました」と話し、撮影をふり返って、「元々、榊監督は俳優ですが……70年代の伝説になっている往年の監督達の生き残りみたいな感じでした」と、榊監督の怒鳴り声の凄まじさを称えた。また、哀川も「『何か俺やったかな? 』って一瞬ドキっとするような、それくらいの声出すから」と高橋に賛同し、林が榊監督に怒鳴られて泣きそうになっていたことを暴露。さらに船越も「役者やってるときより監督やってる時の方が怒鳴り声デカイよね」と2人に乗じ、楽しそうに榊監督を口撃していた。一方、榊監督は「この先輩方3人……恐いじゃないですか。どこまで言っていいものかとは思ったんですが」と笑いつつ、「映画は永久に残るものなので責任を持ってやりたいなと思い、忌憚のない意見を言わせていただきました」と、本作への熱い想いを語った。
「(監督に怒鳴られて)こっちも熱くなって、帰ってやろうかと思ったことが2度ほどあった」と、熱気溢れる撮影の様子を語った高橋 |
船越は「映画への愛だと思って許していただければ」と怒鳴ったことを謝罪する榊監督に対し、「勿論だよ」とドスの利いた声で応えて会場の笑いを誘った |
哀川は、4月になって新たな生活を始める人々に向け、「若いときは何でもやったほうがいい。『止めろ』と言われるまで、諦めずにやるのが大事」と力強いメッセージを贈った |
本作では監督だけでなく、インテリ派ヤクザを演じた榊監督。2009年4月3日に、撮影の無事を祈ってお祓いをしたと言い、「1年後の今日、公開初日を迎えることができて感無量」と喜びを語った |
なお、この日、高橋からは「公開は(2009年の)12月の予定だったんですよね。何かあったっけ?」と、本作に出演していた押尾学の逮捕により、製作や公開が延期になったことを言外に含めた発言も飛び出し、榊監督や船越らも苦笑しつつ、「春の映画だから丁度いいよね」と本作をアピールした。