発売するや否や、注文が殺到している鍋がある。鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」だ。鉄と炭素の合金である鋳物に、ホーロー加工を施したもので、極限まで高められた密封性から無水調理が可能となっている。日本の職人の手で1つひとつ仕上げられたバーミキュラの人気の理由を探っていこう。
今年2月に発売されたバーミキュラ(オンラインショップはこちら)。開発したのは、愛知県名古屋市内で70年以上の歴史を持つ老舗鋳造メーカー・愛知ドビーである。直径22cmサイズの鍋で価格は23,800円。カラーはパールピンク、パールグリーン、パールブルー、パールブラウン、パールグレーの5色展開。パステルカラーでやわらかな雰囲気のある仕上がりとなっている。
鋳物ホーロー鍋は、鉄の熱伝導率と、炭素やホーローが持つ保温性、そして遠赤外線効果が融合した高機能の多層構造鍋である。「ル・クルーゼ」「ストウブ」といった海外メーカーの鋳物ホーロー鍋が主流となっている中、同製品はメイド・イン・ジャパンにこだわった鍋となっている。
「従来の鋳物ホーロー鍋よりも格段に煮崩れしにくく、すばやく素材の芯まで火を通すことができます」と話すのは同社の広報担当者。日本職人の高度な技術と手間を惜しまない姿勢を生かして、従来では難しいとされていた高い密封性を実現できたのが特長の1つだという。
その結果、無水調理が可能になり、高い圧力鍋効果を生み出すことに成功。肉じゃがやカレー、ミネストローネなど、素材から出てくる水分を最大限に生かして調理するので、無水、もしくはごく少量の水で仕上げることが可能。ゆえに、濃厚な味わいの料理が楽しめる。調理時の油も最小限で済むというわけだ。IHなどさまざまな熱源に対応可能で、耐熱温度は300℃。
ちなみに同社にとってバーミキュラは、家庭用調理器分野に進出する第1弾商品となる。3年ほど前から、一般消費者向け製品の開発に取り組んでいたところ、フランス製の鋳物ホーロー鍋で作ったカレーが衝撃的なおいしさだったことから、自社の鋳造技術と加工技術を生かして独自にバーミキュラを開発することになったという。