FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。アジア時間までは月末ということもあり、市場参加者も静観モードだったのが、英米の経済指標を受けて日欧との温度差を示す動きとなった。ダーリング英財務相のコメントがあったものの、発表されたGDP・住宅価格指数が比較的好感され、GBPが対EURで堅調に推移し、欧州側にとっては重しとなる半面、英資本市場は堅調に推移。
その後、ギリシャの国債発行に対する懸念が根強く、ユーロの重しが加わる中、米消費者信頼感指数が改善する内容となったことで、USDが堅調に推移。ただ、株式市場においては消費・ハイテク銘柄が比較的堅調に推移するも、利益確定の動きに加え、シティ株など金融銘柄が重しとなったことから、イベント後の高値を超える展開とはならなかった。
0915(米)フィッシャー・ダラス地区連銀総裁 講演
0930(豪)2月小売売上高
1545(ユーロ圏)2月仏生産者物価指数
1700(ユーロ圏)3月独失業率
1800(ユーロ圏)3月消費者物価指数 -速報値-
1800(ユーロ圏)2月失業率
2000(米)MBA住宅ローン・借換え申請指数
2115(米)3月ADP全米雇用報告
2245(米)3月シカゴ地区購買部協会景気指数
2300(米)2月製造業新規受注
0130(米)ロックハート・アトランタ地区連銀総裁 講演
0130(米)デュークFRB理事 講演
昨日の米経済指標と受けて、米経済への回復期待感が徐々に出てきているように思われる。
反面、日欧に対する懸念が強まっていることから通貨・株式市場においても温度差が出やすくなってくるのではないだろうか?
まずは、今週の米雇用統計を受けて、昨日の消費者信頼感指数の内容が好感されていることから、今晩のADP、シカゴ地区の数値がどのようになるかが注目される。その上で、翌日のISMの数値と合わせて米雇用統計に向けての期待感がさらに熟成される地合いとなるうえ、本日にはFRB当局者からの講演予定もあることから、将来的な出口戦略に絡んだ思惑も出てきやすいと思われる。
もっとも、全般的な改善基調が出たとしても、米国内でも地域格差があることから性急な軸足変更とはなりにくいだろうが、方向性が見出しにくい為替市場においてはこれまでの不美人投票の地合いが改善されると見る。
WallSTでは昨晩つけた高値を越えてくれば、再度今年の高値を超す展開を模索しやすいだろう。今晩の米経済指標の内容に期待したい。
ユーロに根強く残る「ギリシャに絡んだ懸念」
一方、ユーロはギリシャに絡んだ懸念が根強く残っている。
前日の発行は無事に消化できたものの、20年債に関しては反転絶不調。4-5月に大量の国債償還の借り換えが無事にこなせるのかどうかと市場の不安感が払しょくできていない。今後も順次発行していることになろうが、期間が短い国債に市場参加者が集中するようだと、市場の不安心理を表しているとはいえないだろうか。
そういった中、若干とはいえイギリスのGDPが好感されたことで、ネガティブスタンスのポジション解消の動きがでやすくなるかもしれない。為替市場においてEURGBPが0.89の高値からの下落で見た38.2%ポイント以上に回復していることも後押しとなりそうだ。
そして、日銀短観の発表を木曜日に控え、若干改善基調を確認したい雰囲気の中、政府は郵貯預入限度額引き上げ方向で了承する展開になったことで、海外筋においては日本投資というよりはさらに個別企業選別というスタンスに後退する可能性があり、資本市場にとっては重しとなるかもしれない。 民間金融機関への圧迫要因となりえるうえに、その資産運用への懸念が市場から出た場合には、円売り・株式市場の重しにつながる可能性がある。
今後の日本政府の出方次第だが、市場を納得させる内容にならなければ、海外資本の流入を期待する政府の思惑とは合致しない動きとなりそうだ。
これらを踏まえると、米・新興国・資源関連銘柄へのシフトが強まる中、ネガティブ思考の銘柄が改善されれば、ポジション解消に転換視野いということも考えられる。 やはり、過渡のポジション持ち越しには警戒しておくべきだろう。