日本の二輪市場は決して好調とはいえないが、欧州メーカーはアグレッシブに新車開発を行なっている。ここではイタリアを除く欧州メーカー、BMW、トライアンフ、KTMのブースを覗いてみた。
S1000RRで日本車の市場に切り込むBMW
BMWといえば水平対向2気筒のボクサーエンジンが代名詞。バイクの志向もツーリングやアドベンチャーなど、大人向けのイメージが付いていた。しかしそれがユーザーの平均年齢を引き上げてしまったようで、その反省からか、ここ数年、BMWは並列2気筒、4気筒など、積極的にニューモデルを開発している。「S1000RR」はその象徴ともいえるモデルで、スーパーバイクレーサーのベースマシン。いままでスーパーバイクといえば日本車やドゥカティの独壇場だったが、そこへBMWも参入することになった。
ブースでも目立つ壇上に白・赤・青のS1000RRが飾られ、フロアには触ることのできるS1000RRが何台も置かれていた。ここからは人垣がなくなることはなく、興味の高さが伺われた。また同じ白・赤・青に塗られた「HP2 Sport」や「F800R クリス・ファイファー・エディション」も並べられていた。
最近の人気モデルを尋ねたところ、昨年から発売されているF800Rを挙げていただいた。これは比較的若い人に人気で、ストリートに似合うデザインと、BMWとしては比較的リーズナブルな価格も効を奏しているという。搭載される並列2気筒エンジンも、F800S/STで登場したシルバーのころよりも、内部が微妙にリファインされているようだ(現行のF800S/STも同様)。
そして新たにDOHCヘッドを得た「R1200 RT」「R1200 GS」もブース前面に展示。スペック上ではわずか数馬力の違いだが、フィーリングは格段に向上したとのこと。これはショーでは確認できないので、各ショップで試してほしい。
S1000RRはフロアにも置かれ、自由に触ることができる |
DOHCヘッドを得た「R1200RT」。BMWの御家芸ともいえるロングツーリングモデル |
こちらも新しい「R1200GS」。ヘビーデューティなパニアケースがそそる |
ストリートとクラシカルの両面が人気の「トライアンフ」
トライアンフブースの中心に置かれたのは限定車の「サンダーバードSE」と「スピードトリプルSE」。どちらも鮮やかな赤色だ。
ステージの反対側には「ストリートトリプル」と「ストリートトリプルR」がきれいに並べられている。これは発売されている全カラーを持ち込んだとのこと。スタイルが人気のひとつであるモデルだから、色の違いをチェックするのにも良さそうだ。
ストリートトリプルのほか、最近30代やそれより若い人に人気なのが上げているのがクラシカルなスタイルの「ボンネビル」シリーズ。長く乗っていても飽きないスタイルや、バーチカルツインの鼓動が好まれているという。テレビドラマにも登場したが、それも理由のひとつかもしれない。
トライアンフのブースの中央には、赤い2台の限定車が置かれる |
「サンダーバードSE」は、フロントスクリーンやパニアバッグを装備したツーリング仕様のモデル |
「スピードトリプルSE」は赤に白いストライプのカラーリングが特徴。限定25台 |
もっとも元気さを感じる「KTM」
オレンジと黒の「KTM」は、いま世界でいちばん元気なモーターサイクルメーカーかもしれない。ステージに置かれたのは世界初公開となる「Freeride」と名付けられたゼロエミッションモーターサイクル、つまり電動バイクだった。BMXのようなストリート向けモデルと、エンデューロモデルが展示されていた。これについては別稿で解説したい。
もうひとつの目玉は、ミラノショーで公開されたモトクロッサー「350 SX-F」。KTMの本道ともいえる分野の最新モデルで、フレーム、エンジン、サスペンション、スタイルのすべてにわたって革新的な設計が行なわれているという。
公道モデルでの人気車を尋ねてみると、やはり「スーパーモト」や「デューク」などのストリート系だという。KTMが他メーカーと違うのは、若いライダーがとても多く、それがKTMの成長を支えている。アグレッシブなマシンづくりが若い人の共感を得ているのだろう。なにやら60年代、70年代の元気なころの日本メーカーを見ているようだ。
KTMほどの派手さはないが、「ハスクバーナ」も進化を続けている。同社もオフロードを本職とするメーカー。今回は超軽量な250ccマシン「SM250R」や、間もなく登場する予定のモタードモデル「SMS630」などが置かれていた。タンクやテール部が極端に薄く見える、先鋭的なデザインのモデルだ。