"おうちごはん"で食費を節約するための極意は、

  1. 食材を安く買う
  2. 買った食材をムダなく最後まで食べ切る

の2点です。この2点が実行できれば、食費は必ず減ります。

さて、今回は、この2点のうち(2)買った食材をムダなく最後まで食べ切る、にスポットを当てます。

食材を腐らせずに食べ切るには、保存法が肝心です。長期間保存するためには、冷凍保存が欠かせません。特に、特売品をまとめ買いした場合、最後の1切れまで腐らせずに食べ切るためには、冷凍保存はマストです。

ところが、冷凍するには、肉は使いやすい分量ずつに小分け、葉物野菜は下茹でして、さらに小分けしてからと下ごしらえが必要です。この下ごしらえが面倒で、冷凍をギブアップしていた人も多いはず。しかも、下茹でして冷凍した葉物野菜は食感がべチャッとしてイマイチ美味しくありません……と、思っていたのが、これまでの冷凍の常識を覆す、新・冷凍テクが登場しました。

下ごしらえなし! 肉も野菜もそのまんま冷凍!

その名は「ダイレクトフリージング」。この画期的な冷凍法を発案し、提唱しているのが、料理研究家の村田裕子さん。(『下ごしらえなし! 凍ったまま調理! 史上最ラク フリージング革命』講談社)。

この冷凍法のスゴイところは、下ごしらえなしで、肉でも野菜でも、そのまんま冷凍してしまう点。それだけではありません。なんと、解凍せずに凍ったまま調理してしまうのです。今晩、使いたいと思った肉を冷凍室から冷蔵室に移し忘れた、電子レンジで解凍したら失敗した、肉からドリップが出て冷凍臭が気になるなど、解凍にまつわるトラブルがいっさいありません。

つまり、ダイレクトフリージングとは、その名の通り、そのまんま冷凍して、凍ったまま調理する冷凍法。今まで、冷凍するのは、小分けだとか、下茹でが必要と思っていましたが、実は、そんな手間をかけずに、ただそのまんま冷凍してもOKだったというわけです。むしろ、葉物野菜は下茹でせずに、食べやすい大きさにカットしただけで冷凍した方が、手間がかからないだけではなく、食感を損ないません。というのは、下茹すると、茹ですぎることが多く、歯応えがなくなりがち。下茹でせずに、そのまんま冷凍した方が、シャキシャキした食感が残って、おいしく食べられます。

ダイレクトフリージングのメリットは、手間がかからないことだけではありません。

  1. 葉物野菜は下茹でしないので、栄養価が損なわれない。
  2. 野菜は、加熱しないで冷凍するので、過熱した場合に比べて食感がキープできる。
  3. これまで冷凍に向かないと思われていたじゃがいも、大根、ごぼうなども冷凍OK。

など、栄養もおいしさもバッチリというわけです。

実際、どうやる? ダイレクトフリージング・テク

■ダイレクトフリージングの基本

  • トレーをはずして、買ったときのラップで包み直す。日付シールが貼ってあるので、いつ冷凍したかがわかって便利。
  • ファスナーつきの保存袋に入れ、中の空気を抜きながら口を閉じる。金属製のトレーに乗せて冷凍室へ。

野菜

  • 水洗い後、ペーパータオルなどで水分をよくふき取る。使いやすい大きさにカットする。
  • ファスナーつきの保存袋に入れ、中の空気を抜きながら口を閉じる。金属製のトレーに乗せて冷凍室へ。

肉でも野菜でも、この2ステップのみ。この方法でおいしく冷凍するためのコツは

  1. 空気に触れると、食材が劣化する原因になるので、ラップに包むときと、保存袋に入れるときは、中に空気が残らないようにピッチリ閉じる。
  2. 霜の原因になる水分をよくふき取る。
  3. 急速冷凍するために、肉も野菜も薄く広げる。熱伝導率のよい金属製のトレーに乗せるとさらによし。

■調理法

野菜は、凍ったまま炒める、煮る、熱湯をかければOK。たとえば、小松菜は凍ったままみそ汁の具、炒める、熱湯をかけておひたしに。玉ねぎは炒める、凍ったままマリネやツナ缶とあえても美味。きのこ類は、いったん凍らせた方がうまみがアップします。

これまで冷凍には不向きとされていたじゃがいもは、フライパンにサラダ油を多めに入れて、中火で熱し、凍ったままのジャガイモを入れます。竹串を刺してすーっと通るまで揚げ焼きにすればOK。冷凍したじゃがいもは過熱しても、シャリシャリした食感でおいしくありませんが、この方法ならフライドポテトに変身。塩、こしょうをして、そのまま食べてもいいし、ポテトサラダにしてもおいしくいいただけます。

ひき肉は、凍ったままフライパンで焼けば、なんちゃってサイコロステーキ風に。ただし、冷凍するとき、ラップでギューッと固めておかないと、焼いたときぼろぼろになりやすいので注意。その他の肉も、凍ったまま焼く、衣をつけて揚げる、味をつけて電子レンジでチンでOK。

特別なテクも道具も不要。下ごしらえなしで、そのまんま冷凍するダイレクトフリージング。冷凍は苦手と思っていた人も、ぜひお試しください。簡単、おいしい、さらに食費が浮くのいいことづくめです。

玉ねぎは皮をむき、スライスして、水分をふき取ってから、保存袋に

小松菜は水洗いをして、水気をよくふき取り、食べやすい大きさに切ってから、保存袋に

きのこは石づきを切り、食べやすい大きさに切ってから、保存袋に

ひき肉は買ったときのラップで包む。フライパンでサラダ油を熱し、凍ったままのひき肉を入れる。中まで火を通すために、ふたをして蒸し煮するのがポイント。焦げつきがきになるようなら、少量の水を入れたもOK

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