為替テクニカル
FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。中古住宅販売件数は、前月比0.6%減の502万戸と8カ月ぶりの低水準となったが、市場予想とほぼ変わらなかったことから、特に相場への影響は見られなかった。
やはり雇用が増加しないことには住宅を含めた消費関連は期待できず、回復にはまだ時間がかかるだろう。
一方、欧州もギリシャ支援問題で、センシティブに反応しており、心理的にも上値が重い状況が続いている。短期的な焦点としては、4月20日から5月23日に返済の期限を迎える約160億ユーロをどの様に調達するかが焦点となる。
このように米国、欧州ともに明るい材料は無く、現状はニュートラルで様子見として見ている。
注文状況を見ても91円前半から92円半ばまで売りのオーダー、90円前半から89円前半まで買いオーダーと、上下挟まれている。
レンジは相変わらず90-91円。何かサプライズがないと、動きにくい状況は変わらず。よってテクニカル的には見るべきところは見当たらず、といったところ。
また昨日、第一生命が株式の売り出し価格を1株14万円と発表。期末要因で株式の上値が重くなる中、4月1日向けた期待感から株式がより上値の追いの展開となれば、その影響がリスクテイクの円安へと波及することも考えられる。その場合、ボックスの上限91円くらいは抜けてほしいものだ。
欧米のマーケット概況
アジアンタイムでは、世界経済の回復期待により半導体や鉄鋼での需要が拡大するとの見通しがアジア全体の株価指数を押し上げ、日本225種をはじめ、中国株式市場も堅調な値動きが継続。しかし為替市場では、ギリシャ問題によりリスク回避のドル高/ユーロ安の展開へ。
このように株式でのリスクテイク、為替でのリスク回避といったトレンドがどの程度欧州市場序盤へ波及するかが焦点。本来の流れなら寄り付きは堅調になるところだが、本日は軟調な地合いで始まる可能性が高まっている。
理由はユーロドルの下落。14時過ぎにギリシャ問題に対し欧州の足並みが揃ってないことが懸念材料とされた。今回の下落は、短期筋のみでなく実需からのユーロ売り観測も見られ、一層の売り圧力が強まっている。ドイツ紙が、ギリシャ一国では財政赤字問題はおさまらない可能性を指摘したことも売り要因として一部市場関係者の間では言われていた。アジアンタイムでの株価上昇は、鉄鋼需要拡大観測による資源系が牽引していた要因も大きいため、このユーロドルの下落は、原油や貴金属価格にとってはネガティブ要因となろう。実際、スポット金価格は1,100ドル割れ、WITも81ドルをブレイクし尚も軟調な地合いが続いている。
一方、欧州タイムでユーロを買い戻すチャンスを挙げるなら、18:00に発表予定の3月独IFO景況指数か。今回は、前回値95.2を上回る95.8の予想となっている。期待指数も100.9から101.0へと上昇する見通し。ユーロ圏の景気回復スピードが米国と比較し遅いとの指摘もユーロ売りにつながっているが、ドイツ景況指数が改善傾向を鮮明にすれば、本日分の急落をカバーするだけのユーロ買いが入る可能性もある。シカゴIMMでは、未だユーロショートが積み上がっていることも材料視されよう。
その後NYタイムに入り、21:30に2月の米耐久財受注、23:00に2月の新築住宅販売件数が発表される。
前者の耐久財は、注目のコア指数(除輸送機器)が前回のマイナス1.0%からプラス0.6%へ一気に回復するとの予想。現在、米市場では製造業セクター回復への期待感が高まっており、米大手金融機関もキャタピラー(CAT.N)への強気の見方を示している。そのような状況の中、耐久財でもその傾向が確認できれば、ウォール街株価指数は10900ドルのラインをトライする可能性が高まる。
また、米株価指数上昇の牽引役であるハイテクセクターでも、半導体需要拡大観測を背景に続伸する可能性がある。インテル(INTC.O)、クアルコム(QCOM.O)そしてアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD.N)といった銘柄の動向に注視したい。
このように株式ではリスクテイク継続期待感が根強いが、やはり気になるのはユーロドルの動き。アジアンタイムからギリシャ問題を背景としたユーロ売りが加速したが、欧州市場でどの程度戻すかが注目される。上記チャートではフィボナッチ38.20%戻しが目先の上値焦点として浮上する可能性を指摘しているが、その水準すら回復できないようだと、1.33台へトライする機運が高まろう。
そうなればドル高の影響が商品相場へも波及し、せっかくの鉄鋼需要拡大観測も材料視されることなく、欧米の資源系セクター全体で売り圧力が強まるシナリオが浮上する。
また、円相場はクロス円を中心に円高圧力が強まっているものの、ドル円がボックスレンジを形成している影響により、急落といったムードはいまのところ感じられない。しかしEU首脳会談を前にドイツやフランスがIMF関与で共同歩調を表明してもリスク懸念が払拭できない現状を考えると、ユーロドルでの下落がドル円にも波及し、ボックスレンジの上限と考えられる91円トライの展開になるシナリオも浮上しよう。