東京証券取引所グループは23日、同社代表執行役社長の斉藤惇氏による定例の記者会見を行った。東京証券取引所グループの2010年度事業計画について明らかにしたほか、「日経平均・配当指数」など3種類の配当指数の先物取引を7月26日に上場すると発表した。
東京証券取引所グループの2010年度事業計画は、2008年度から3カ年計画で実施されている「中期経営計画」をベースに策定されている。具体的には、「2010年度アクションプラン」として、「デリバティブ市場の拡大」「現物市場の厚みの拡大」「安全で高性能な取引システムの提供」「新規ビジネスの推進」などが挙げられている。
デリバティブ市場の拡大については、「2010年度にデリバティブ市場の取引高倍増(2007年度比)」、現物市場の厚みの拡大では、「ETF上場銘柄数100(2007年度比3倍)」の目標を掲げている。また、「安全で高性能な取引システムの提供」については、今年導入された取引システム「arrowhead」の機能向上・能力増強や、オプション取引のための新たな取引システム「Tdex+」の機能強化などが盛り込まれている。
2010年度以降とされている東証自身の上場計画については、「今の状況でも上場申請ができないのかどうか、いろんな意見がある。ルール的には不可能かどうかというと、そう(不可能)でもない」とした上で、「我々は上場審査をしている会社であり、自分の会社は甘くして、お客様(他の企業)には厳しくするということはできない」と述べ、上場時期を慎重に見極めていく方針を示した。
また、会見では、「日経平均・配当指数」「TOPIX配当指数」「TOPIX Core30 配当指数」の3つの配当指数の先物取引が7月26日に上場することも発表した。
配当指数とは、対象株価指数の構成銘柄を対象期間保有していた場合に得られる配当額を指数化したもの。米国では、S&P500株価指数、欧州ではFTSE100などの配当指数が算出・公表されている。具体的には、銘柄ごとの配当額に指数用株式数をウエイトした値の株価指数の基準時価総額に対する比率を、当日の指数構成全銘柄について加算し、その値をその年の1月第一営業日から算出日までの間、累計したものとなる。
斉藤社長は、配当指数の先物取引について、「OTC(店頭市場)では相当な規模の取引がある。(今回上場する3つの指数先物についても)かなり利用されるのではないか」と期待を表明した。
3月23日に行われた斉藤社長記者会見での配布資料はこちら。