スイス・バーゼルで開催中の「BASELWORLD 2010」においてセイコーウォッチは、表示体に電子インクを利用したアクティブマトリクス式デジタルウォッチを参考出展した。年内をめどに商品化する予定。
通常のデジタル時計は、セグメントと呼ばれる文字の一部分を点灯することによって表示を行うため、あらかじめ決められた数字や文字しか表現できない。これに対してマトリクス式のディスプレイは、表示部に敷き詰められたドットの点灯によって表示を行うため、任意の図形などを表示させることが可能となる。
同社は2006年、電子インク技術「電気泳動ディスプレイ(EPD: Electrophoretic Display)」を採用したセイコーエプソン製表示モジュールを搭載するEPDウォッチ「スペクトラム」を発売したが、このときは70~120本のセグメント式だった。今回は8万ドット・300dpiという高解像度のEPDを採用したことで、時刻だけでなくグラフィックなども表示可能になった。
電子インクは電力が必要なのが書き換え時のみのため消費電力が小さいが、セイコーエプソンで独自に開発した半導体を採用することでさらなる省電力化を図り、同社発表によれば、一般的な電子ブックリーダーと比べておよそ100分の1の電力での駆動が可能になったという。また、EPDは白と黒の粒子を制御することで表示を行っており、今回の表示モジュールでは各粒子の割合を変化させることで4階調の濃淡を表現することが可能になっている。商品化時の価格は10万円前後を予定している。