歌手の佐野元春が今年でデビュー30周年を迎えることになり、18日、東京・恵比寿のリキッドルームで、前夜祭となるスペシャルライブ「アンジェリーナの日」を行った。

ライブ後に記者会見を行った佐野元春(左)

ライブでは、ヒット曲『サムデイ』やデビュー曲『アンジェリーナ』などを披露。お馴染みの名曲の演奏と歌声に、集まったファンは大歓声を送った。

ライブ終了後に行われた記者会見では、30周年を記念した様々なプロジェクトが佐野本人から発表された。まずは、秋からは全国ツアーを敢行。そして、自身初となるセルフカバーのアルバムも今夏にリリースされる。ライブとアルバムにはアーティストとのコラボレーションが展開されるという。また、2009年に放送された、佐野がゲストを招いてインタビューしていくNHK教育のトーク番組『佐野元春のザ・ソングライターズ』のセカンドシーズンが4月から放送。WOWOWでは映画監督の堤幸彦とタッグを組んだスペシャルドラマも制作される。詳細は明らかになっていないが、ブラジルで撮影中という同作品は、佐野によれば「映像と音楽のコラボレーションは限りない可能性がある。今回の作品はロードムービーと理解しています」とのことで、年内に放送予定という。

ライブではキレのあるパフォーマンスを見せ、会場を盛り上げた

会見では、ファンも見守る中、「アニバーサリーなので心をオープンにしてやれることは全部やっていきたい」と意気込みを語った一方、「10代・20代の時に比べて、ソングライティングのスピードが落ちたね。1カ月に1曲くらい。でも、今年は30年目なんでやる気になっている。1週間に1曲はかいてみようかな」と話すと、会場からはどよめきが起き、拍手がわいた。

また、報道陣から今後の活動について聞かれると「僕がやっているロックンロールは、小さい子がお手洗いに行きたくてそわそわするような、心の初期衝動のようなもの。これをどうやってキープするのかが難しい問題」と独特の表現で前置きし、「人生や物事に対してフレッシュに見ていくことが必要だと思う」と話し、「よいレコードを作ってツアーをすることが自分にとって一番大事。いつも元気で笑いを絶やさずユーモアのセンスをもって、厳しい世の中を渡っていきたい(笑)」とユーモアを交えて抱負を語った。

ファンを大事にすることで知られている佐野らしく、会見ではファンからの質問も受け付け、高校生の女性から「私たちの世代へメッセージをお願いします」という質問が出ると佐野は、「"リアル"に"充実"してほしいな。リア充っていうの? 2カ月前まで知らなかったんだけど、素敵な言葉だなって(笑)」とインターネットから生まれた言葉を用いて答え、会場からは笑いが巻き起こった。佐野自身、1995年よりWEBサイトを開設しており、インターネットの活用には熱心なアーティストの一人。「今まで色んな実験をしてきました。インターネットは個人のパワーを持ち寄るにはよい場所だと思う。30周年に向けても特別なサイトを作っていきたい」と意気込んでいた。