アメリカン・エキスプレスはこのほど、「アメリカン・エキスプレス・アジア・パシフィック・ビジネス・トラベル・モニター」を発表した。アジア太平洋地域全体で航空運賃が前年比および前四半期比で1%上昇となり、世界的な景気後退の状況下においても航空運賃の減少は顕在化しなかったことが明らかになった。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・トラベル・モニターは、アジア太平洋地域における370の都市から世界各国に渡航する便の往復航空運賃を追跡調査している。対象国は、オーストラリア / 中国 / 香港 / インド / インドネシア / 日本 / 韓国 / マレーシア / ニュージーランド / フィリピン / シンガポール / 台湾 / タイおよびベトナムの14カ国。今回発表された2009年第4四半期(10月~12月)のレポートでは、2009年12月31日で終了する四半期のデータを集計している。

アメリカン・エキスプレス業務渡航部門のアドバイザリー・サービス部アジア太平洋地域担当部長のジョナス・ボーグリン氏は今回の発表を受け「各企業が将来、業績の見通しに自信を持ち、業務渡航の頻度が再び増加に転じるにつれて、航空運賃が企業にとって大きな負担になります。そのような状況のなかで、企業は透明性を持つ経費管理の必要性が求められています」とコメントしている。

日本

日本発便の航空運賃は安定して推移し前四半期と比べ大きな変動はなかったものの、前年同四半期との比較ではクラス別、行き先別とも9%上昇した。なお「日本航空は先日、同社の全国際線の燃油サーチャージを4月1日より引き上げると発表しました。全日空も今月に入り、同様の申請を国土交通省に行っています」(ボーグリン氏)としている。

オーストラリア

第3四半期(7月~9月)と比べ全体的に変化はなかった。北米行きの路線で航空運賃が5%下がったものの、国内線の航空運賃は2%上昇にとどまっている。上昇幅が最も大きかったのはエコノミークラスで、前年同四半期比10%増、第3四半期からは5%増を記録した。

中国

第3四半期から1%減、前年同四半期比では6%下落した。ビジネスクラスの割引運賃は第3四半期には前年同四半期比20%下落したが、第4四半期は第3四半期から比7%上昇と大幅に反転した。

インド

キャビンクラス、渡航先を問わず航空運賃は大幅に上昇。第3四半期と比べると全体では平均11%の増加、ビジネスクラス正規割引運賃については23%も増加した。国内運賃は前四半期比18%上昇。前年同四半期比では7%下落したことを考えると、大幅な反転と言える。ボーグリン氏は「座席供給量の減少と航空会社間の統合が大幅な上昇に繋がりました」と述べている。

シンガポール

シンガポールでは正規運賃は平均1%増と、前年同四半期と比べ大きな変動はなかった。航空運賃はシンガポールと欧州、中東・アフリカ、アジア太平洋各地を結ぶ便で前四半期比2%上昇。「シンガポールの航空各社は4月に運賃改定を発表する予定です。今後もシンガポール経済の復調が続けば、航空会社はこれに対応して1~6%の運賃値上げを実施するとみられます」(ボーグリン氏)とのこと。