日本証券業協会は17日、定例会見を開催した。会見では、新たに制定された『CFD取引に関する規則』について、同協会副会長の増井喜一郎氏が説明した。同規則は、勧誘での禁止行為や、ロスカット取引の態勢整備などについて定める内容となっている。
同協会では、「証券CFD取引」に関し、自主規制会議の下部機関「ATCワーキング」の「投資者保護を目的とした諸課題への早期対応に取り組む必要がある」との提言を踏まえ、2009年4月に「証券CFD取引ワーキング・グループ」を設置。証券CFD取引に係る諸課題について検討を行ってきた。
同ワーキング・グループでは、検討を踏まえ、「CFD取引に関する規則」(案)を制定し、2010年1月18日に公表。同案について、2010年1月18日~2月5日にパブリック・コメントを実施した。
今回、日本証券業協会では、ワーキンググループの最終報告書を16日に公表した。さらに17日に開いた定例記者会見では、同報告書とパブリックコメントと内容を踏まえて制定した「CFD取引に関する規則」について、16日に開催された同協会の自主規制会議の議案の一つとして、副会長の増井喜一郎氏が説明した。
同規則では、協会員が行うCFD取引契約の勧誘について、店頭CFD取引に対し、「不招請勧誘の禁止」「勧誘受諾意思の確認義務」「再勧誘の禁止」を課すこととした(第4条)。
さらに、協会員が店頭CFD取引契約の締結をしようとする場合で、契約締結前交付書面を交付するときには、その書面に、「カバー先の概要」「委託証拠金の管理方法」などを記載しなければならないこととした。また、この書面の交付に関し、あらかじめ顧客に対して必要な方法・程度による説明をすることなく、店頭CFD取引契約を締結してはならないこととしている(第5条)。
ロスカット取引の態勢整備などに関しては、協会員が顧客との間で店頭CFD取引を行おうとする際は、ロスカット取引を行うための十分な管理態勢を整備しなければならないこととし、管理態勢に基づいて店頭CFD取引の業務を行わなければならないとした(第6条)。
また、協会員が行うロスカット判定の間隔は10分以内としなければならない(第7条)ことや、ロスカット水準の設定にあたっては、店頭CFD取引の区分に応じて同規則で定める数値を下回ってはならない(第8条)ことも定めている。
上記を定めた「CFD取引に関する規則」は、2010年5月1日から施行する。ただし、第3条第5号~第9号と、ロスカット取引の態勢整備などを定めた第6条~第9条までの規定は、「ロスカット取引の態勢整備には準備期間が必要」(増井副会長)などの理由で、2011年1月1日から施行される。
また増井氏は会見で、2010年度の日本証券業協会の監査計画において、特にインターネット取引を行っている会員に対し、システムリスク管理態勢の状況について点検を行うことなどについても話した。