マイクロソフトは、Windows製品の海賊版や偽造品対策の一環として、Windows 7向けにWindows Activation Technology (以下WAT) プログラムの自動更新を3月15日より始めるとともに、新たな中古PC向けのライセンス提供プログラムの開始を発表した。
Windows Activation Technology Update For Windows 7
WATは、Windows Vista/7向けの正規Windowsかどうかをチェックするプログラム。これまで、Windowsのインストール後30日以内に行うアクティベーションや、Windows Updateによってチェックが行われてきた。今回、Windows 7向けにプログラムの強化を行い、Windows Activation Technology Update For Windows 7(WAT Update)をリリース。すでに先月から提供を開始していたが、3月15日からはWindows Updateの重要プログラムとして自動更新も開始した。
WAT Updateでは、Windows Updateを行わなくても90日ごとにチェックを行うよう修正されている。チェックでは、単に正規のWindowsであるかを検証するだけでなく、不正プログラムの削除、正規プログラムへの復旧も行われる。そして、これらのチェックには、PC内部に作成される、70種以上の既知のアクティベーション攻略コードのデータベースも参照される。データベースは、今後新たな手法が確認され次第、随時アップデートされるという。
同社では、Windows製品の偽造ソフトウェア対策として、インターネットオークションへの不正出品者の監視、新規購入者の注意喚起、偽造ソフトウェア被害者の正規ライセンス購入窓口への誘導などを行っている。昨年6月には、北海道警察により、インターネットオークションサイトを悪用してWindows XPのリカバリーメディアの偽造品を販売していた3名が逮捕されており、同社ではこれを、それまで取り組んきた各種施策の効果としている。
昨年6月の逮捕報道以降、オークションサイトなどへの非正規メディアの出品数は激減しており、不正出品者の逮捕は、偽造品撲滅に大きな効果を挙げている。これを受けて、マイクロソフト 執行役 法務・政策企画統括本部長 伊藤ゆみ子氏は「マイクロソフトは今後も知的財産を侵害する行為に関しては、刑事告訴を視野に入れ、著作権保護団体や警察、パートナー様と連携して、断固たる姿勢で対応していきたい」と述べた。
Microsoft Registered Refurbisher
中古PC向けのライセンス提供プログラムでは、5月から「Microsoft Registered Refurbisher(MRR)が新たに開始される。マイクロソフトでは、2009年4月から「Microsoft Authorized Refurbisher」(MAR)という中古PC向けのライセンス提供プログラムを開始しているが、MRRはこれの簡易版。
Certificate of Auhenticity(COA) ラベルを説明するマイクロソフト コマーシャルWindows本部 本部長 中川哲氏。下の緑色のラベルがPCにもともと付属していたCOAラベル。上のオレンジ色のラベルが中古PC向けに発行されたCOAラベル |
中古PCの販売に関しては、リカバリーメディアをセットにして販売することが理想だが、紛失などにより付属していない場合も多い。MARが提供される以前、このようなケースでは、ユーザーは新規でWindowsのパッケージを購入する必要があったが、業者によっては、海賊版や偽造品を添付するケースもあったという。そこでマイクロソフトは、リカバリーメディアがないような中古PCに対し、セカンダリライセンスとして、より安価にライセンスを取得することが可能なMARの提供を開始した(マイクロソフトによれば実費程度)。ただ、MARは、大規模な業者を対象にしたもので条件も厳しく、中小の業者にとってはこの契約を結ぶには敷居が高かったという。MRRでは、マイクロソフトの代理店を通して、オンライン上でライセンスを購入でき、より手続きが簡略化される。
ただし、MARはWindows XP、Windows 7、Windows Server 2003のライセンスが購入できるのに対し、MRRは、Windows XPのみとなる。MRRのPCとしては、正規Certificate of Auhenticity(COA) ラベルが添付されており、再生PC事業者による適切なデータの消去、動作検証、故障修理が行われたものが対象となる。代理店としては、旭エレクトロニクス、岡谷エレクトロニクス、シネックス、菱洋エレクトロが予定されている。