--基調講演で「次の10年はCMOの時代になる」と言っていましたが、その意図するところをもう少し詳しく教えてください。
「CMO」とは、マーケティング以外の組織についても、何が起きているかを把握し、理解するという大変重要な役割を持つと考えています。
たとえば、サーチマーケティングを実施する際には、結果の計測、効果計測のための指標決定、ランディングページの複数テスト、広告の投資対効果の把握などを行います。こうした一連のことがすべてが1つとなり、ビジネスに影響を及ぼします。
このサミット期間中、そういった業務を行う数十人の方々にお会いしたのですが、「Omnitureが私のキャリアを作ってくれました」と仰っていただきました。彼らは、今や企業内の重要な会議に呼ばれ、意見や回答を求められる立場にあると言います。こうした方々は、CMOの右腕となる方々で、将来的にはCMOになる可能性もある。さらにそこから社長になったという例も出ています。
CMOの役割とは、マーケティングの結果をすべて数値化し、その結果を示すことで、CFO(最高財務責任者)やCEO(最高経営責任者)に対しての具体的な予算案と施策の提案が可能となるのです。大手の広告代理店の大袈裟なプレゼンテーションを用いて、ただやみくもに「このキャンペーンをやればお客さんがハッピーになります」「素晴らしいCMを作るので予算をください」という時代は過ぎました。
CMOが、その役割を果たすために必要なスキルが、「エンジニアの知識」「統計力」「クリエイティビティ」であると考えています。この3つのスキルを元に、何が起きているかを把握し、数値化を行い提案できる、そのようなCMOが必要とされており、「次の10年はCMOの時代になる」といった根拠はそこにあります。
--今年のOmniture Summitでは、ソーシャルメディアをテーマにしたセッションが多くあり、また参加者たちの話題にもなっていました。どのようにお考えでしょうか?
「ソーシャルメディアをどう活用するか」というのは、かつての「モバイルをどう活用するか」に似ているのではないでしょうか。到達ポイントに達しさえすれば、いかようにも活用が可能になってくる。
かつて、Web時代の幕開けにそうだったように、ソーシャルについてもモバイルについても、新しい試みがなされていくでしょう。1995年にトヨタドットコムで、若者をターゲットにしたCMをやっていたのを今でも鮮明に覚えています。「若者の心をよく理解してくれている」と感じることができました。
ソーシャルとは、単に顧客と対話を持つことではありません。顧客とのやりとりの中で、彼らをよりよく理解することにあります。顧客との「やりとり(Interactive)」の中で「意思疎通(Communicate)」を行い、より「理解(Understand)」することで、自社の優位性や評判を知るというメリットがソーシャルメディアにはあります。
それだけでも十分に投資の理由となりますが、それがなくとも投資対効果が高い手法と考えています。「100人の友人がいて、テキサス在住、20代、ハリソンフォードが好き」といった(ターゲット)人口の1%かもしれない人をセグメント化し、ターゲットすることが可能になった。これは広告の歴史上、初めてのことで大変興味深いことです。(とても力強い口調で)すべての企業は、ただちに試みるべきだと思っています (All company, You need experiment now)。
--日本在住の経験から、日本語をお話になると聞きました。日本の利用者に向けて、ぜひ、日本語でメッセージをいただけますか。
AdobeとOmnitureの統合と聞き、どのように変化していくのかと不安を抱く方もいると思います。しかし、Adobeにとって日本は以前から大切なお客様であり、売上もとてもよい。そのことを聞いて大変嬉しかった。日本のビジネスは、Omnitureにとっても、私自身にとっても大切なものなので、それを聞いて安心しました。(日本法人の)オムニチュアも日本のお客様から信頼いただいています。これからもAdobeと一緒に日本の企業の方々を大切にして、皆様のビジネスが成功するように一生懸命に働いていきます。よろしくお願いします。