アクティブな高齢者の社会参画を促す新たなプロジェクト始動

昨年10月、満を持して発売した新OS「Windows 7」。史上最速と言われる販売実績を記録したマイクロソフトが、「Windows 7」のさらなる普及にもつながるであろう興味深い取り組みを実施している。それが今回レポートする企業市民活動の一環である「シニア情報生活アドバイザー向けスキルアップ講座」だ。

「Windows 7」の一新されたUIや強化された機能群の解説、アクセシビリティ機能などについて講座が開催された。今回は「シニア情報生活アドバイザー」という資格を持つ受講者が対象となる

本イベントのレポートの前に、マイクロソフトが推し進めている"企業市民活動"について紐解いてみよう。マイクロソフトは"世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をすること"というミッションを掲げ、かねてより様々な活動に注力してきた。その活動は多岐に渡るが、教育分野や地域活性化、障碍(しょうがい)者やシニア層といった人々の社会参画をサポートするなど、マイクロソフトの製品を通じた支援を社会的責任として自らに課し社会に貢献してきた。

今回の「シニア情報生活アドバイザー向けスキルアップ講座」は、マイクロソフトと経済産業省が認定した財団法人ニューメディア開発協会との協業により行われた。ニューメディア開発協会が認定する「シニア情報生活アドバイザー」は、言ってみれば"アクティブシニアのリーダー的存在"で、パソコンやインターネットの利用を広く普及させるエバンジェリストのようなもの。実際に資格を取得すると、パソコンやインターネットの使い方を教える、パソコン教室やNPO活動で講師を務める、パソコンで起こるトラブル解決の手伝いをするといった活動が行えるという。今回の講座に参加した方々は皆「シニア情報生活アドバイザー」資格取得者で、実際に街のパソコン教室などで教鞭を執る方もいらっしゃった。

パソコンを使って社会と繋がって欲しい。そして人生を楽しんでもらいたい

講座は、主に「Windows 7」のUIや新たな機能の紹介、簡単操作センターやWindowsタッチによって実現したスクリーンキーボードなどのアクセシビリティ機能について、実際にパソコンを操作しながらワークショップ形式で行われた。休憩の合間に参加者のひとりに話を伺ったところ、「最初は私もパソコンなんて苦手でした。仕事で使ううちにいろんな楽しさを見出すことができた。その喜びや楽しさをもっと多くの人に体験してもらいたい」とキラキラとした笑顔で仰ると同時に、「パソコンやインターネットを使ってもっと社会と繋がって欲しい。そして人生を楽しんでもらいたい。私たちアドバイザーは、その"最初の一歩"を踏み出すお手伝い」と、シニア世代の更なる社会参画を促す意気込みを語ってくれた。

オリジナルの教本を片手に真剣に講座に聞き入る受講者の姿は、若者以上の熱気を帯びていた

これはハンズオンでウインドウの半透明化するAero機能を実際に試している様子。「おお?!」などと感嘆の声も聞かれた

休憩時間中にもかかわらず快くインタビューに応じてくださった東葛インターネット普及会の皆さん

超高齢化社会を目前に、マイクロソフトが選んだ手段

社会を取り巻く環境は変わりつつある。4人にひとりが65歳以上の高齢者という日本が未だ体験したことのない状況に突入していく。マイクロソフトは超高齢化社会となっても、誰もが使いやすいOS、ソフトウェア、ソリューションを開発・提供していく傍ら、今回の「シニア情報生活アドバイザー向けスキルアップ講座」を契機に高齢者間でのコミュニケーションを支援していくスタンスだと見受けられた。パソコンに明るいアクティブなシニア層を厚くすることにより、デジタルデバイド(情報格差)を自然な形で是正していく。そこにはもちろん「Windows」という、誰にでも使いやすいOSを軸に据えながら。