3月11日、茨城空港が開港した。当日は早朝から旅行客、見学者、記念行事関係者、マスコミなどが押し寄せ、開港初日らしい賑わいとなった。ターミナルの総面積が羽田空港第2ビル約20分の1とコンパクトなのも、混雑に拍車をかけた。
茨城空港は、建設途中で格安航空会社向けに舵を切った。乗客は1階でチェックインしてそのまま外へ出てタラップを使い機内へ乗り込む。その動線はまさに格安空港のそれだ。中型機が発着できる空港としては、国内に初の格安空港が誕生した。
開港日の一番機となったのは、スカイマークの記念フライト。神戸空港を出たボーイング737型機が午前9時30分、茨城空港の真新しい滑走路に着陸した。
スカイマークは4月16日から茨城-神戸線を就航する。もう1つの定期便であるアシアナ航空のソウル線はこの日から運航を開始。現在決まっている定期便は、この2本。また、この日はスカイマークの羽田行きの記念フライト、復興航空の台北行きチャーター便、JALグループのハワイ(ホノルル)行きチャーター便も運航された。
今後、旅行会社のチャーター便も続々と運航される見込み。近畿日本ツーリストは開港日の台湾旅行を取り扱い、エイチ・アイ・エスはゴールデンウィークに上海、台湾、グアム、ハイナン島、セブ島などへのチャーターツアーを企画している。
茨城空港は、「首都圏第3の空港」、「首都圏の北の玄関口」を謳う。しかし、定期便は今のところ神戸線とソウル線の2本のみ。しかも、神戸便は4月16日からの運航だ。このままでは当初見込んだ年間81万人には遠く及ばず、年間2,000万円の赤字を出すとも試算されている。他の地方空港では億単位の赤字を出しているケースもザラだから、まだ少ないともいえるが、そういう問題でもないだろう。
茨城空港は成田や羽田とは空域が違うため、発着枠だけでなく、空路にも余裕がある。成田や羽田に勝るこの点を活かして、多数の航空会社の就航を目論んでいたが、国内外とも最小路線数でのスタートとなった。便数が少ないから、地上のアクセスも便利にならず、都心から直行できるバスも電車も運行されていない。途中、1車線の道も多く「都心から85分」というが、スムーズでなければ2時間はかかる。今後、空も地上も便利になっていくのか。注目したい。