デルは9日、SMB(Small and Medium Business:中堅・中小企業)向けのノートPCブランド「Vostro」をフルモデルチェンジし、「Vostro 3000」シリーズとして発売を開始した。同日、新シリーズの詳細やSMB市場の戦略について説明するマスコミ向けの新製品発表会が開催されたので、その様子をレポートしよう。

左からVostro 3300、Vostro 3500、Vostro 3700。今回Vostro 3400の実機は展示されていなかった

SMB向けに最適化されたVostroシリーズ

スモール&ミディアムビジネス マーケティング本部 北アジア地区 本部長の原田洋次氏

デルの「Vostro」は、初期導入費用の最適化をはじめ中堅・中小企業のニーズを満たすべく提供されているノートPCブランドだ。製品群全体では個人向けの「Inspiron」、大規模企業(500名以上)向けの「Latitude」という2シリーズの中間に位置付けられている。

スモール&ミディアムビジネス マーケティング本部 北アジア地区 本部長の原田洋次氏は「SMB向けの製品は、ある意味でコンシューマと企業という2種類のニーズを満たすことが求められる難しい層ですが、同時に法人の約半数を占める大きな市場でもあります。こうしたお客様が満足されるよう、SMBの専任チームで機能やデザインなどを絞り込んだのがVostroシリーズです」と語る。ちなみに、Vostroというブランド名は「あなたのもの」を意味するラテン語に由来している。この名称からも、企業向けでありながら自宅でも使えるコンシューマ寄りの製品群にしたい、という同社の想いが感じられるだろう。

「Inspiron」と「Latitude」の中間に位置付けされる「Vostro」シリーズ

「Vostro」と「Latitude」の主な相違点

Vostroシリーズの付加価値としては、PC内の重要データを外部ストレージに暗号化して保存する「Data Safe Online」が2GBまで無償で利用できるほか、過去の資産を活かせる「Windows XP Mode」の搭載、専任エンジニアが24時間体制で対応する「デル・プロサポート」、オプションとしてウイルスバスター 15カ月版の無償提供などが用意されている。

パフォーマンスの向上とスタイリッシュデザインを両立

スモール&ミディアムビジネス マーケティング本部 ブランドチーム シニアマネージャーの伊田聡輔氏

続いて登場した、スモール&ミディアムビジネス マーケティング本部 ブランドチーム シニアマネージャーの伊田聡輔氏は、「Vostro 3000シリーズはSMBのニーズを満たす専用設計・開発により、従来と比べてパワフルで軽く、かつ洗練された次世代のVostroノートに進化しました」と語り、新シリーズの詳細について解説した。

まず、Vostro 3000シリーズのラインアップは13.3型ワイド液晶搭載モデル「Vostro 3300」、14型ワイド液晶搭載モデル「Vostro 3400」、15.6型ワイド液晶搭載モデル「Vostro 3500」、17.3型ワイド液晶搭載モデル「Vostro 3700」という4種類で構成されている。共通の特徴としては、インテル製の最新CPUであるCore iシリーズを全モデルに搭載するほか、最大6GBのメインメモリと1GBのグラフィックスメモリによりパフォーマンスを向上。さらに、軽量かつ高剛性なアルミニウム製シャーシ、落下時にHDDのヘッドを退避させてデータ損失を防ぐフリーフォールセンサ、衝撃を吸収する「Strike Zone」などにより、クラス最高レベルの堅牢性を実現しているという。全モデルにUSB 2.0/eSATAポートとDVDスーパーマルチドライブを、Vostro 3400/3500/3700にはHDMIポートを標準搭載しているのも特徴だ。

「Vostro 3000」シリーズの主要スペック

また、よりスタイリッシュになったデザイン面もポイントのひとつ。フロント部の厚さは従来機種と比べて、13.3型モデルで23.8mmから20.1mmへ、15.6型モデルで26.2mmから22.9mmへと、8~16%の薄型化が図られている。カラーバリエーションについても従来は「オブシディアン・ブラック」と「チェリー・レッド」の2種類だったが、新シリーズでは「アバディーン・シルバー」「ルーサン・レッド」「ブリスベン・ブロンズ」の3種類が用意されており、ユーザーの選択肢が広がった。