スタンダード&プアーズは8日、アメリカン・ライフ・インシュアランス(アリコ)の保険財務力格付けと長期カウンターパーティ格付けを「シングルAプラス」に据え置いた。アリコの日本支店であるアリコジャパンの保険財務力格付けも同様に「シングルAプラス」に据え置いた。

アリコの保険財務力格付けと長期カウンターパーティ格付けは、2010年2月3日以降、方向性不確定で「クレジット・ウォッチ」に指定されていたが、スタンダード&プアーズは今回、これを解除した。アリコジャパンの保険財務力格付けも同様に、「クレジット・ウォッチ」を解除した。アウトルックはすべて「ネガティブ」。アメリカン・インターナショナル・グループ・インク(AIG)とその保険事業子会社の格付けに影響はない。

今回の格付けアクションは、米保険大手メットライフがアリコとその系列会社を155億ドルで買収することでAIGと同意したとの発表を受けたもの。格付け据え置きは、スタンダード&プアーズがアリコの単体ベースの信用力を高く評価していることを反映している。買収完了後に、メットライフの事業子会社の格付けを下方修正する可能性があることも考慮しているという。

また、スタンダード&プアーズでは、メットライフの事業子会社の格付けを「シングルAプラス」に引き下げる可能性があるとしている。その理由について、「アリコ買収により、メットライフの連結ベースの資本基盤が弱まるうえ、事業子会社の手元流動性による固定費用カバレッジが低下する可能性があるため」と説明している。

また、今回の買収により、「日本と東欧諸国で非常に強固な市場地位を持つアリコの地理的分散面での強みを、メットライフが生かしていくと考える」(スタンダード&プアーズ)との見方も示している。