日本HPは、1台のホストPCに各クライアントがUSB接続することにより、最大10人程度が同時に利用できる教育分野向けソリューション「HP MultiSeat Computing」を発表。ホストPCとして「HP MultiSeat ms6000 Desktop」、クライアントに接続するアクセスデバイスとして「t100」をリリースした。いずれも3月11日から販売が開始され、価格は「HP MultiSeat ms6000 Desktop」が71,400円から、「t100」が7,035円からとなっている。利用用途として、学校教育や図書館での書籍検索端末などが想定されている。

「HP MultiSeat ms6000 Desktop」(左)と「t100」(右)

「t100」はW111×D28×H65mmとコンパクト

「HP MultiSeat Computing」は、米Microsoftが2月24日に発表した「Windows MultiPoint Server 2010」をホストPCにインストールすることにより実現する。各クライアントは、「t100」にマウス(PS/2)、キーボード(PS/2)、ディスプレイ(D-Sub)を接続し、「t100」とホストPCをUSBでつなげるだけで、Windows 7ベースのGUIでPC環境を利用できる。

「HP MultiSeat Computing」の構成

「Windows MultiPoint Server 2010」は、Windows Server 2008 R2をベースに、リモートデスクトップサービステクノロジを利用して、複数ユーザーの同時利用を実現している。クライアントのアプリケーションはホストPCでそれぞれ独立して実行され、ファイル等はホストPC上のクライアント別の領域に保存できる。

「Windows MultiPoint Server 2010」の管理画面「MultiPointマネージャー」

ホストPCの「HP MultiSeat ms6000 Desktop」には、1台あたり最大5ユーザー程度の利用を想定した「Essential」と、最大10ユーザー程度の利用を想定した「Extended」がある。

Essentialは、CPUがIntel Core 2 Duo E7500(2.93GHz)、メモリが2GB(DDR3)、HDDが320GB、光学ドライブがDVDスーパーマルチ。Extendedは、CPUがIntel Core 2 Quad Q9400(2.66 GHz)、メモリが6GB(DDR3)、HDDが500GB、光学ドライブがDVDスーパーマルチ。インタフェースは共通で、USB 2.0×12、PS/2×2、 ギガビット有線LAN×1、D-Sub×1、ディスプレイポート×1、ラインイン×1、ラインアウト×1、シリアル×1、ヘッドホン×1、マイク×1。外形寸法はW100×D338×H379mmで、重量は7.26kg。

一方、「t100」のインタフェースは、PS/2×2、USB(Type B)×1、D-Sub×1、ヘッドホン×1、マイク×1。外形寸法はW111×D28×H65mmで、重量は135.7gだ。なお、電源はUSBのバスパワー給電となっている。

「Windows MultiPoint Server 2010」の提供形態には、MultiPoint Server 2010をホストPCにプリインストールして提供するOEM版(Microsoft Client Access Licenseは必要)と、別途サーバOS「Windows MultiPoint Server 2010 Academic」(参考価格22,050円)とクライアントライセンス「アカデミックオープンライセンス(ボリュームライセンス)」(参考価格:5,565円)を購入する2種類があり、OEM版は同時接続が最大10ユーザーまででドメインの参加はできないが、アカデミックオープンライセンスを利用する方式は、同時接続数の制限もなく、ドメインの参加が可能となっている。ただ、いずれの場合も購入は学校や美術館、博物館、公民館、図書館などの教育機関に限られる。

「HP MultiSeat ms6000 Desktop」でも、OEM版とアカデミックオープンライセンスの2パターンが用意され、ハードウェアの違いを含め、ラインナップは以下の表のとおり。

モデル名 ライセンス方式 価格
ms6000 Essential/MultiPoint OEM 92,400円
ms6000 Extended/MultiPoint OEM 113,400円
ms6000 Essential/FreeDOS アカデミックオープンライセンス 71,400円
ms6000 Extended/FreeDOS アカデミックオープンライセンス 92,400円

「t100」の価格は、OEM版向けの「t100 w/CAL」が12,600円(Microsoft Client Access License込)、アカデミックオープンライセンス向けの「t100 for Academic VL」が7,035円となっている。実際の費用については、日本HPのWebに構成例が記載されているので、こちらを参考にするといいだろう。