米Wall Street Journalを傘下に抱える米News Corp.のルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏が、Apple iPadへのコンテンツ提供計画を語っている。また1年以内にiPadを含む5~6程度のデバイスプラットフォームにもコンテンツを拡大する計画で、一気にコンテンツの電子化が進むことになりそうだ。WSJが3日(現地時間)に報じている。
これはWSJの「Journal to Launch New York Section in April」という記事の中で語られたもので、タイトルにもあるように本来はWSJのニューヨーク版の発行計画についてMurdoch氏が説明したものだ。現在、ニューヨーク地元紙としてはNew York TimesやNew York Postなどがあり、WSJでもニューヨーク地域に密着した専用紙面を用意してライバルに対抗する。
Murdoch氏はNew York Postの不動産情報ページを絶賛する一方で、New York Timesが本来の地域新聞の役割から離れつつあることを指摘しており、情報の密度で十分に対抗可能だと判断したとしている。ニューヨーク版編集部を35名の人員で組織し、週6日、1日あたり16ページの紙面を用意する。
このように従来の紙新聞ビジネスを拡大する一方で、電子化対応について補足したのが冒頭のiPad市場参入だ。現在同社ではiPhone用の専用リーダーであるWSJアプリの配布を行っている。このWSJアプリはオンライン版のコンテンツをそのまま流用したものだが、Murdoch氏によればデイリーで毎夜アクセスキーの内容が変化するものであるとしている。新聞紙面をそのままiPad向けコンテンツとして読めるようにしたNew York Times Readerのような、紙面リーダータイプのものになる可能性がある。
また課金スタイルは不明だが、WSJアプリではコンテンツ購読に月額8~10ドル程度を徴収しており、オンライン版(月額約13ドル)や紙面の年間購読者にはその半額のディスカウント価格を提示している。もしiPadを含むモバイル版アプリが今後も登場するとしたら、こうした二重課金スタイルになる可能性が高い。