「HTML5 or Flash」論争に新たな話題が登場した。2007年8月に就航したばかりの格安航空会社Virgin Americaが、3月1日にリニューアルしたばかりの同社WebサイトからFlashコンテンツをすべて排除したことが話題になっている。英Registerが伝えている

リニューアルされたVirgin Americaのページ

Registerによれば、Webサイト上でのアニメーション実現にはHTMLで十分だと判断したのがその理由だという。Flashのようなクローズドな技術ではなく、ましてやMicrosoftのSilverlightでもなく、新世代のモバイルコンピュータへのコンテンツ提供ではHTMLのようなオープンな技術が適しているという考えだ。Adobe対Appleの業界対決のエゴをユーザーに押しつけるのではなく、純粋にiPhoneを含むモバイルユーザーが端末を使って簡単にチェックインなどをできるよう考えた結果、HTMLの採用に至ったようだ。同社CTOのRavi Simhambhatla氏は「単一のハードウェアやソフトウェアプラットフォームに縛られるのが嫌であり、Flashを選んだ時点でiPhoneユーザーを切り離さなければならない。今年はVirginにとってモバイルの年となるだろう」と語っている。

またSimhambhatla氏によれば、Virgin Americaのハブ空港となっているサンフランシスコ国際空港において、今年後半中にも携帯電話を用いたチェックインを可能にする予定だという。同種のサービスは日本ではICアプリを介してすでに実現しているが、米国では電子航空券、いわゆるe-Ticketを携帯電話上に表示させることで、搭乗券代わりに利用できるというものだ。これまでもプリンタなどで印刷した搭乗券の利用は許可されていたが、携帯電話の画面表示のみというのは実験段階にとどまっており、米運輸保安局(TSA)の認可が取れ次第という状態のようだ。

Virgin Americaのサポートカウンター。ロサンゼルス国際空港にて

チェックインカウンターは専用端末のみが設置されたシンプルなもの。ここで搭乗券を取り出し、必要に応じて荷物を預けるだけ。各国語対応しているが、日本語が微妙におかしいのはご愛敬

なおこのVirgin Americaだが、100~250ドル程度の格安料金で米国内を自由に往復でき、しかも充実したエンタテインメント機能というのが売り物になっている。全席に"Red"と呼ばれる衛星TVや有料コンテンツを見られるエンタテインメント端末や電源コンセントが備え付けられているほか、一部ではお馴染みのGogo Internetという機内インターネット接続システムで、飛行中でも手持ちの無線LAN対応デバイスを使ってネット接続が可能になっている。オンラインでのチケット購入やチェックインも簡素化されており、少ない予算で旅をとことん楽しみたい人にはお勧めだ。

機内は全席に"Red"という機内エンタテインメントシステムが備え付けられているほか、ノートPCやiPhoneなどのモバイル機器があれば、いつでもインターネットに接続できる