米AppleがLalaを買収して以降、音楽コンテンツをクラウド対応させる計画は常に噂されてきた。同社の次なる目標は音楽だけでなく、TVや映画などの動画コンテンツをもターゲットにしようとしているようだ。米CNETが報じている。
同報道によれば、AppleがiTunesユーザー向けにAppleのサーバ上にコンテンツを置くサービスを提供すべく複数の大手映画スタジオとの交渉を続けているとの話を、関係者2人の話として伝えている。CNETはiPadが発表される1週間前の1月20日にも、Appleが同様の交渉を音楽会社やTV会社に対して行っていたことを報じており、iTunesコンテンツの多くがクラウド化計画の対象となっていることがわかる。
Lala買収におけるAppleの狙いとメリット、今後の展開についてはYoichi Yamashita氏が自身のコラムで触れているほか、MP3.comの創始者であるMichael Robertson氏が自身の見解としてほぼ同じ意見をTechCrunch上の特別寄稿で表明している。Lalaは自身の保有する楽曲を同社サーバ上にアップロードしてインターネット経由で聴いたり、複数のユーザーと同じデータを共有する仕組みを提供する。このほか有料ストリーミングサービスの提供も行っている。
最大のポイントはサーバへのアップロードとストリーミングの部分にあるが、データセンター上のサーバ、つまりクラウドに音楽データを置くことでバックアップやデータの保全性が確保され、しかもインターネットを通じてどこからどのデバイスを使っても再生が可能となる。この2つがクラウド化における最大のメリットとなる。
一方で、CNETの報道ではNPDのデータを引用しつつ映画コンテンツのダウンロードユーザー数の減少を報告しているほか、Forrester ResearchのアナリストJames McQuivey氏のコメントを引用して、クローズドなデバイス環境を持つAppleとの契約に映画スタジオらが二の足を踏んでいるとの警告も行っている。
確かに、"どこからどのデバイスでも"というアピールがある一方で、iTunesが利用できるモバイルデバイスの種類は限定されており、今後クラウド化の進展とともにAppleがどのような動きを見せるか興味深いところだ。また先日はAppleが建設中の従来比5倍規模の超巨大データセンターの空撮動画が話題となっており、契約の進展いかんにかかわらず、Appleはクラウド対応に向けてひたすら前進を続けている。