NYタイムの動向

FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーコメントをお届けする。NYタイムに入り、2月の米雇用統計が発表される。前回の非農業部門雇用者数変化はマイナスの2万人。今回の予想レンジはマイナス6.5万人前後、失業率は前回の9.7%よりも上昇し、9.8%になると予想されている。

この指標に関しては、事前予想と結果がかなり乖離していることがあるため、発表前にはポジションを軽くしておくことが重要と思われる。

仮に市場予想を上回った場合は、素直に株高要因として市場でとらえられるか。問題は市場予想を下回った場合だが、現在の米株式市場のセンチメントを考えると、下落は限定的なものにとどまるか注目したい。というのも、今年最初の米雇用統計もネガティブな内容だったが、株価は底堅い展開を見せた。また、1月は米金融規制策と中国の金融引き締め政策が同時に市場で材料視されていた側面が強かったことにも注視した方がいいだろう。

本日の中国全国人民代表大会では、温家宝首相が景気刺激策の継続を表明。またボルカールールに関しても現実的な内容になるとの思惑が市場で台頭し始めている。このため景気敏感セクターである金融株や資源株にとってはポジティブ要因となろう。また、米輸出産業も中国の経済政策の恩恵を受ける公算が大きくなる。

ただ週末ということもあり、仮に今回の雇用統計により米景気回復期待感が強まった場合には、本格的なリスクテイクは来週以降になる可能性がある。

一方、為替市場は難しい。昨日の流れを見る限りでは、好調な米雇用関連指標とドル高の相関性が強まっているように感じる。それまではユーロリスクを回避するためのドル買いといった側面が強かったが、米景気回復期待感を背景にしたドル買いへとシフトすれば、ユーロドルは更に下値をトライすることが考えられる。目先のポイントは1.35のラインか。ただ、株式市場でのリスクテイクが商品相場へ波及した場合、資源国通貨の動向次第では行き過ぎたユーロやポンドでの買い戻しが誘発される可能性も考慮しなければならないだろう。

もちろんギリシャ支援問題に対する政策当局者の動向、特にドイツで何か新しい動きが出てくるかも注視しなければならない。それがポジティブな内容なのか、ネガティブかによっても状況が変化するため、米雇用統計の結果のみでなく、このようなファンダメンタルズの状況を踏まえながら、慎重にトレンドを見極めることが重要となろう。

米ウォール街株価指数 日足