ソニーは2月8日にBDレコーダーの新ラインナップ「BDZ-RX105」「BDZ-RX55」「BDZ-RX35」「BDZ-RS15」を発表している。従来のラインナップでは8倍までだったハイビジョンの長時間録画が10倍になっており、さらに「おまかせリモコン」が装備されるようになったというのが、新ラインナップの概要だ。

今回、1TBのHDDを内蔵する「BDZ-RX105」を試用したので、新製品の大きな目玉となっているおまかせリモコンを中心にレポートする。

「おまかせリモコン」装備の「BDZ-RX105」

一般的に、レコーダーに付属するリモコンには、他社製のテレビの基本操作が可能というものが多い。しかし、操作が可能なのは、本当に基本的な部分のみだ。筆者が使用しているテレビは東芝のREGZA 20C2000で、レコーダーはソニーのBDZ-T75だ。普段は、テレビのリモコンとレコーダーのリモコンの両方を使用している。もちろん、BDZ-T75のリモコンも、他社のテレビの基本操作は可能になってはいる。しかし、操作できる項目は、電源のオン/オフ、チャンネルのアップ/ダウン、音量のアップ/ダウン、入力の切り替えのみと、本当に基本的なものだけだ。比較的使用頻度が高いと思われる、番組表の表示や、放送波の切り替えなどはできない。こういった機能を使用するには、テレビに付属しているリモコンでの操作が必要だった。

BDZ-RX105に付属するおまかせリモコンでは、従来機で使用できた、パナソニック、シャープ、東芝、日立、三菱、パイオニア、アイワ、ビクター、三洋、NEC、富士通ゼネラル、フナイ、三星電子(SAMSUNG)、ソニー製のテレビの電源オン/オフ、チャンネルのアップ/ダウン、音量のアップ/ダウン、入力の切り替えに加えて、パナソニック、シャープ、東芝、日立、三菱、パイオニア、ソニー製のテレビの、数字ボタンでのチャンネル操作、放送波切り替え、データ、消音ボタン、方向、メニュー、戻る、決定などのボタンが利用できるようになる(すべての他社製テレビの操作を保証するものではない)。

他社製テレビの操作に対応させるためのリモコンの設定は、本機の初期設定の中で画面上の説明にそって簡単に行うことができる。また、「おまかせリモコン」には本機と接続するテレビやAVアンプに加えて、「スカパー!HD」チューナーも「おまかせリモコン」ひとつで操作可能となっている。好評の操作画面「らくらくスタートメニュー」を、ボタンひとつで表示できる「らくらくスタート」ボタンも継続搭載している。

また、従来機のリモコンにテレビのコードを登録する場合と同じく、リモコン上部にある「TV」ボタンを押しながら「画面表示」ボタンを押し、設定したいメーカーのコードを数字ボタンで入力して「決定」ボタンを押すという方法でおまかせリモコンにテレビを登録することも可能だ。筆者が試用したBDZ-RX105は、まだ発売前ということもたって、マニュアルなどは付属していない。今回、この操作の方法を知ったのは、「らくらくスタートメニュー」にある「使い方を知りたい」というヘルプ機能によるものだ。日常的に使用する機能に関しては、ある程度使っていれば、マニュアルなどは必要なくなるものだが、こういっためったに使わない機能に関してのヘルプが用意されているというのは、なかなか便利だと思う。

REGZAのリモコンコードを登録したおまかせリモコンの動作を確認してみよう。まずは、従来から使用できていた、電源のオン/オフ、チャンネルのアップ/ダウン、音量のアップ/ダウン、入力の切り替えだが、これらは問題なく動作した。続いて、新しく追加された部分についてだが、番組表、ホームボタン、消音ボタンも問題なく動作する。ホームボタンを押した場合の動作は、20C2000のメニューボタンを押した場合に相当するようだ。また、数字ボタンを使ってのダイレクト選局や、データボタンも普通に動作する。

音量の調節ボタンを押したところ

数字ボタンの「11」を押してチャンネルを切り替えたところ

番組表の表示も可能だ

「ホーム」ボタンを押すと、設定メニューが表示される

このように、テレビとして普通に使う上で必要になる操作は、問題なく行うことができた。テレビのリモコンからしか行えないのは、画面サイズや字幕表示など、一度設定してしまえば、変更する頻度の低いものと、各メーカーが独自に搭載している機能ということになる。独自の機能とは、例えば、REGZAの場合、現在放送されている番組の簡易リストを画面の下に表示し、他のチャンネルに素早くアクセスできるようにする「裏番組リスト」機能が搭載されているが、このようなものには当然対応していない。そういった、各メーカーの個別の機能をすべて盛り込むことは、現実問題として不可能だろう。

ところで、他社のレコーダーのリモコンでは、テレビの操作系を1つのブロックにまとめるといった手法が使われているケースが多いが、同社のレコーダーのリモコンでは、そういうようにはなっていない。テレビ専用に用意されているのは、電源ボタンと音量ボタンぐらいで(実際には、音量ボタンも、AVアンプを接続した場合、AVアンプの音量ボタンと兼用になる)、チャンネルのアップ/ダウンや入力切り替えなども、テレビとレコーダーの共用となっている(STBもそうかもしれないが、筆者は所持していないため実際のところは不明だ)。機器を操作するには、リモコンの上部にある「BD」「STB」「AMP」「TV」のボタンを押して、操作する機器を切り替える。こういうレイアウトだからこそ、ボタンの数を増やさずに、多くの種類の機器の操作が可能になっているのだろう。

このボタンは、押すと赤く点灯するのだが、「BD」ボタンを押した場合にはすぐ消灯し、「TV」など、それ以外のボタンを押した場合にはしばらく点灯し続ける。BD以外の操作モードになっていることをユーザーに伝えるための仕組みなのだろう。ただし、操作を行わないでいると20秒ほどで、「TV」など「BD」以外のボタンのランプも消え、自動で「BD」のモードに戻る。機器の切り替えボタンが点灯していないときはBDを操作するモードということだ。この、切り替わるまでの時間は、もう少し長くてもよいかもしれない。

BDZ-RX105に付属する「おまかせリモコン」。リモコン上部の「BD」「STB」「AMP」「TV」のボタンで、操作する機器を選択する

「BD」以外の機器を操作するモードの時には、その機器選択ボタンが点灯する

おまかせリモコンは、前述したように、普通にテレビを使用するのに必要な機能は網羅しているので、テレビとレコーダーの操作をこれ1台に集約してしまっても、さほど問題なさそうだ。BDZ-RX105は、おまかせリモコンが付属することで、他社製TVを所有しているユーザーにも買いやすい製品といえるだろう。

おでかけ転送を使ってみる

さて、今回、BDZ-RX105と一緒に、ウォークマンのAシリーズを試用した。同社のレコーダーには、録画した番組をウォークマンや携帯電話などに転送する「おでかけ転送」という機能が搭載されているので試してみたいと思う。

BDZ-RX105は、フロントパネルのドアの中にUSBポートを装備しているので、ここにウォークマンを接続する

まず、ウォークマンを、ウォークマンに付属するケーブルでUSBポートに接続する。続いて、XMBの「ビデオ」のラインを上にスクロールしていくと、「おでかけ・おかえり転送」の項目があるので、これを選択。すると、画面のようなメニューが表示される。「おでかけ転送」を選ぶと、録画ずみタイトルの選択画面が表示され、そこから転送するタイトルを選択、「実行」を選ぶと、選択したファイルがウォークマンに転送される。転送するコンテンツを、レコーダー側で途中まで見ていた場合は、まだ見ていない部分のみを転送するか、それとも初めから転送するのかを選択することも可能だ。転送にかかる時間は、番組の内容にもよるのだろうが、だいたい、実時間15分で1分程度といった感じだ。また、録画ずみのタイトルを選んで、リモコンの「オプション」ボタンを押してメニューを開き、下のほうにスクロールしていくと、「ダビング」の下に「お出かけ転送」の項目がある。ここでおでかけ転送を行うと、転送するタイトルを選択するか、それとも、その時点で指定されていた1タイトルのみを転送するのかを選択する画面が表示される(このように、たいていのことは、あちこちからできるようになってているのが、XMBの特徴でもある)。転送が終了すると、ダビング10のタイトルは、ダビングの残回数が1つ減る。

XMBで「ビデオ」の列にある「おでかけ転送」を選択

表示されるメニューから「おでかけ転送」を選択

転送するタイトルを選択すると

おでかけ転送がスタートする

転送が終了すると、ダビングの残回数が1つ減る

途中まで見ていたタイトルを選択すると、まだ見ていない部分のみを転送するか、すべて転送するかを選択する画面が表示される

ウォークマン側では、転送されたファイルは、ルートの下の「MPE_ROOT」フォルダに保存される。ウォークマンからは、「ビデオ」-「おでかけ転送など」から、普通に再製することが可能だ。ファイルは、MPEG-4 AVC/H.264形式で、ビットレートはビットレート768kbpsか384kbpsを選択できる。また、おでかけ転送の録画モードを自動に設定しておくと、コンテンツによって、ビットレートが選択されるようだ。384kbpsで転送した場合、コンテンツによって差はあるだろうが、1時間のタイトルで試したところ、230MB程度の容量になった。ウォークマン Aシリーズのメモリサイズは、16GB/32GB/64GBの3種類。よほどたくさん詰め込まない限り問題ないだろう。

おでかけ転送されたタイトルは、「ビデオ」→「おでかけ転送などで選択できる

転送したコンテンツを、レコーダーに戻すことで、ダビング10の残回数を戻すという操作が「おかえり転送」だ。おかえり転送は、先ほどの画面の「おかえり転送」から実行する。お帰り転送の場合、おでかけ転送とは違って、XMBのコンテンツ部分のオプションメニューからは実行できない。おかえり転送を選択すると、タイトルを選択する画面が表示され、そこで戻したいタイトルを選択し、「実行」ボタンを押すと、おかえり転送が実行され、ウォークマンからは、そのファイルが削除されると同時に、ダビングの残回数が1増える。転送に必要な時間は10数秒といったところだ。

さて、おでかけ転送を試してみた感想だが、前日の番組などを出かける前に転送して通勤の電車の中で見るというのは、なかなか便利だ。今回はウォークマン Aシリーズを使用したが、ビデオ視聴も重視するならば、やはり画面サイズも大きく、有機ELディスプレイを採用したXシリーズのほうが、より適しているだろう。