NYタイムの動向
FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーコメントをお届けする。NYタイムに入り、22:30に注目の米新規失業保険申請件数が発表される。月曜日のISM製造業雇用Indexから、今週末の米雇用統計への期待感が急速に膨らんでいる。
今回の申請者数も前回の49.6万件よりも2万件以上減少し、47.0-47.5万件が予想レンジとなっていることから、米雇用関連指標が引き続き注目される状況となろう。
現在FRBが利上げを躊躇する理由の一つに厳しさが続く雇用情勢が挙げられるが、米新規失業保険申請件数でも強い内容となれば、株式や商品市場でのリスクテイクが加速する可能性が高まる。
また、ボルカールールの法案内容が、ここにきて過度な規制をせず現実的なものになるのではという観測も株式市場にとってはポジティブ要因となろう。特に金融セクターでは欧州市場でもわかるように、米株式市場でも業績相場ムードが強まっているため、4Q決算で好業績となった金融機関への物色が継続する可能性があろう。
ただ、米雇用統計前日であること、そして明日から始まる中国全国人民代表大会で更に金融引き締め政策を行う可能性もあるのではという警戒感も浮上しており、昨日同様、引けにかけては利益確定とポジション調整により軟調な地合いになるシナリオが考えられる。
また、為替市場ではギリシャ支援問題で各国の思惑が交錯し、積極的にユーロを買う状況ではない。注目されるのはユーロ圏最大の経済大国であるドイツの動向。ギリシャ支援策に関しては、ギリシャ自身が行うべきとのスタンスを表明している。確かにその通りなのだが、ギリシャ一国の緊縮財政政策では限界があるのもまた事実。下落基調ではあるが、テクニカルポイントでユーロの買い戻しが入っていた背景には、ドイツをはじめとしたEUが救済するのではという観測が担保となっていたからだが、その期待感が後退すれば、その影響はポンドへも波及し、対円やドルで更に売られる可能性が出てこよう。特に英国では総選挙も控え政治的リスクも重なるとユーロ以上に急落することも考慮に入れた方がいいか。
本日はBOE(英中銀)が21時に、ECB(欧州中銀)が21:45に政策金利を発表する。どちらも引き締めを実行する段階でないことは明らかだが、22:30のトリシェECB総裁の記者会見で将来に関しても厳しい見かたを示せば金利差拡大観測が増し、ユーロやポンドは、追加利上げ観測が根強い豪ドルや出口戦略が近いと思われるドルに対して売り圧力が更に強まる可能性も出てこよう。