マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 IT Proテクノロジー推進部 エバンジェリストの安納順一氏 |
2月27日、マイクロソフトは同社のディレクトリ・サービス・システム「Active Directry」の誕生10周年を記念するイベントを開催した。
イベントの冒頭、壇上に立ったエバンジェリスト安納氏は、Windows 2000 Serverに初めて導入されてから10年の歳月が経ったが、基本コンセプトに大きな変更が無いことに触れ「文化に合わせて進化しているActive Directryですが、大きく変わった部分はありません。これは基本がしっかりしていた証明になるのではないでしょうか」と語り、同技術の安定性をアピールした。
Active Directry 10年の歩み
続いてのセッションは「Active Directry 10年の歩み」。まずはアーキテクト 柿沼氏が壇上に登場し、Active Directryを設計する立場から過去を振り返りつつ、その変遷を辿った。
2000年当時のサイト設計図を示しながら、当時の技術的な設計思想を語った柿沼氏は、「当時はサイトあたりの回線も128Kや256Kが主流だった」とコメント。現在のネットワーク(WAN)の高速化や低価格化が、Active Directryの設計に変化を与えていると現状を語った。
また、CPUやサーバあたりに搭載できるメモリ量が劇的に変化していることに触れ、「現在では2万ユーザーでも、4台のサーバでまかなえます」と語る柿沼氏。CPU Usageとスペックイント値を計測し、30%のCPU Usageを目標値として、カバーリングできるユーザー数を割り出すのが現在のDCサイジングの手法のひとつだが、10年前と比べてハードウェアスペックの大幅な向上や、64bitOSによる物理メモリ量の大幅な増加が、Active Directryの設計に大きな影響を与えていると分析した。
Active Directryの個性的な活用事例
マイクロソフト コンサルティングサービス統括本部 アーキテクト 待鳥博志氏 |
続いて同じセッションを引き継いだのは、アーキテクト 待鳥氏だ。「バンクーバーオリンピックで一番すごいと感じたのは、会場のお客様でした」と、なごやかに語り始めた同氏は、フィギュアスケート会場の観客は、選手が繰り出す技の数々を瞬時に見分けて評価しながら、難易度の高い演技に対しては大きな声援を出すことに感動を覚えたのだという。
「会場で大きな声援を送っている観客は、フィギュアスケートを良く知り、その技の使いどころをよく把握している方々です。Active Directryを一番よく知っているのは、実際のお客様というところと似ていますね」と待鳥氏。同氏はその観点から、個性的なActive Directryの運用をしている事例を紹介しはじめた。
Excelを使ってアカウント管理を実行している事例をはじめ、安全性とセキュリティに配慮しつつ、Active Directryで使用しているパスワードを、他のデータベースや業務システムと同期させている事例などを紹介。このほか、持ち込みPCが接続された際にコーポレートネットワーク内にあるサーバを見えないようにする設定方法なども解説してくれた。事例紹介とともに、実際の運用の様子をデモンストレーションも行われたので、会場も興味津々だった。
また、待鳥氏が所属するMCS(マイクロソフト コンサルティング サービス)を、「最適導入の先導役となるために、新しい技術の探検隊をサポートするような役です。川口探検隊でいうと、なぜか入りの動画を撮影しているカメラさんや音声さんみたいなものですかね」とコメントし、会場を盛り上げた。