ちょっと昔の近未来を描いたストーリーやSF映画では、何もない空間にオブジェクトやキーボードを映し出し、それらに直に触れて動かすことでコンピュータを制御しているような場面に出くわすことが多かった。Microsoft Researchの進める「Mobile Surface」プロジェクトにより、こうした世界がより現実に近付くことになるかもしれない。
Microsoftの「Surface」というデバイスを覚えているだろうか(「気分はまるでゲーム喫茶 - MSが投入する新フォームファクタ「Surface」」)? 一昔前のゲームセンターにあったようなテーブル型の情報端末で、マルチタッチによりさまざまな複雑な操作が行えたり、タグ認識機能でテーブル上に置かれた物体を認識できたりと、ちょっと風変わりな製品だった。
実際にKIOSK端末代わりに設置されていたケースがあるほか、Microsoft主催のちょっと大きめなイベントに参加したことがある人なら見かけた可能性がある。マルチタッチ技術の商用展開ではライバルのAppleに知名度の面で出遅れているものの、研究自体はMicrosoft Research(MSR)で古くから行われており、その集大成の1つがSurfaceだといえる。そしてSurface研究の延長として登場するのが今回の「Mobile Surface」だ。
Surfaceは設置面積も必要なうえ、一家に1台というには高価(現時点で100万円以上)で、少々財布事情に厳しい。そして何より、これを持ち運んでさまざまな場所で使うことは不可能だ。一方、Mobile Surfaceは小型のカメラ程度のサイズとなっており、プロジェクタで画面を投影する形式になっている。テーブルや紙など、画像を投影するのに十分なスペースさえあれば、どこでもSurfaceの機能を外に持ち出せるメリットがある。もちろん投影された画像に対してマルチタッチ操作も可能だ。また3Dオブジェクトのリアルタイム投影についても研究されており、複数レイヤを介して3D情報によるプレゼンテーションなども可能にするという。
Mobile Surfaceの基本的なコンセプトモデルだが、まずはTechFlashが用意しているビデオ映像を見ていただくのが早いだろう。
なおMobile Surfaceの現時点での動作デモが、米Microsoft本社のあるレドモンドで今週開催予定のTechFest 2010で公開される予定だという。TechFestは年次開催の技術プレビューイベントで、社内の人間のみを対象としているという。
MSRのサイトにもMobile Surface用のページが用意されていたが、現在では削除されてしまっている。写真や説明文を確認したい場合、Neowinが発掘したGoogleキャッシュの内容を参照するといいだろう。キャッシュは長期間保存されない可能性があるため、注意してほしい。