FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーコメントをお届けする。欧州タイムでは、アジア株式市場の堅調な値動きを受け、序盤はリスクテイクの株価上昇、EUR買い戻しの展開となるかが注目される。また、チリの大地震を受け、資源系セクター、特にグローバルで展開する大手鉱山開発企業が多く上場している英国FTSE100指数が影響を受ける可能性があろう。
なぜなら、産業の血管と言われる銅の需要は新興国を中心に依然として拡大し続けており、世界最大の銅産出国であるチリが大規模な被害を被った今回の地震では、操業停止やプロジェクトの延期等が考えられる。その結果、価格急騰による株価上昇とにったシナリオが浮上する。実際、東京マーケットでは、鉱山関連株に思惑買いが入った場面も見られた。Anglo American、BHP BillitonそしてRio Tintoといったメジャークラスはもちろんだが、AntofagastaやXstrataといったチリの銅山開発に関わっている企業の行動には要注意か。
仮に資源系でリスクテイクが強まれば、WTIの動向にも拠るがエネルギーセクター、そしてリスクトレンドに敏感な金融セクター等でもその影響が波及するかが注目される。しかし、本日大きく市場が動くとすれば、NYタイムと思われるため、過度のリスクテイクは注意したいところだろう。
また、本日は18:30に1月の英モーゲージ承認指数が発表される。弱い経済指標が続く中でも、住宅関連指標に関してはかすかな光が差し込んできた感があったが、今回は前回値5.9万件を下回る5.0万件前後と、やはり内需拡大に期待感を寄せるには時期尚早といった予想となっている。仮にポジティブサプライズとなればGBPの買い戻しが入る可能性が高まろう。また、為替市場では例のギリシャ問題に絡んだEURのショートポジションもかなり積み上がっており、この点でも売られ過ぎの感があった欧州通貨での巻き戻しがどこまで入るかが注目される。
しかし、本日は他の指標も発表予定となっており、例えば17:55から18:30にかけて独、ユーロ圏、英国の順で発表予定のPMI指数は前回と横ばいか低下しているとのこと。また、19:00に発表される1月のユーロ圏失業率は上昇との予想となっており、仮にリスクテイクの展開となっても、やはり一過性のポジション調整に終わる公算が大きいか。
その後NYタイムに入ると、22:30から24:00まで本日も米経済指標は目白押し。まず1月の個人所得・支出は前回と横ばいか、若干上昇するとの予想。デフレータは強弱まちまち。しかし一番注目される2月のISM製造業景況指数は、前回値58.4と比較し今回の予想レンジは57.5-58.0。アジア株式上昇の背景には、先週末発表された米4QGDPの好結果により米株先物が主導した側面もあり、やはり本日も米景気回復期待に対する市場の見方が市場を大きく動かす要因になりそう。
仮にISM指数の構成項目である雇用Indexで強い内容となれば、今週金曜日に発表予定の米雇用統計に向け期待感が膨らむと思われる。現在、米政策金利引き上げのボトルネックとなっているのが、厳しさが継続する雇用情勢であり、実際、先週末発表されたシカゴ購買部協会景気指数も総合指数では62.6と改善傾向を示したものの、雇用Indexでは530と1月の59.8から大幅に悪化。仮にISM指数でも同様の内容となれば、仮に総合で市場予想を上回ったとしても、リスクテイクによる上昇は一時的なトレンドにとどまり、すぐに株式市場では利益確定の売りが、為替市場ではUSD買いが優勢となる展開になることが考えられる。 その他の構成項目では、新規受注にも注目。上記のシカゴ購買部ではこの項目でも66.4から62.2へと低下。9月から順調に上昇基調を維持していただけに、USD高の影響もあると思われるが、ISM指数でも新規受注減となれば、米景気後退懸念に拍車がかかり、株式市場での下落とリスク回避のUSD&JPY高が更に進行する可能性が高まると思われる。
先週から米指標が弱い数字で発表されており、先行き懸念からドルが対円で下落基調となっている。先週は89円を割り込み、88.77円まで下落する場面も見られた。 本日、予定されているISM製造業景況指数も、前回が58.4に対し今回予想は58-57.8と若干ではあるが低下すると見られている。市場予想以上に悪 化した内容となれば、更なるドル売りが予想されるが、ほぼ市場予想通りだった場合はその詳しい内容が精査された後、市場が動くと思われる。ただ、基本的に はリスク回避の円高と見る。米国だけでなく、ユーロ圏のギリシャ支援問題もあり、これら海外要因が引き続き円相場の圧迫要因になる可能性がある。
また今週末に控えている、雇用統計までは調整と様子見ムードが次第に強まることについても考慮する必要があろう。直近安値の88.55円まではここ数日ト ライに失敗しているが、注文状況では88円前半と、88円割れにストップがあるため、直近安値を割り込めば一気に88円割れも視野に入って来るのではないか。
尚、RSIで考えても、上下どちらにも過剰感は感じられない。このような状況下で上を見るのであれば、特に目立ったストップも見られないため、90円前半 を目先のターゲットとしたいところか。今週は米重要指標が目白押しなので、様子見と決め込みたいところではあるが、短期で見るなら軽めのロングが無難か。