米Appleは25日(現地時間)、年次株主総会を同本社のある米カリフォルニア州クパチーノで開催した。アナリストや株主らを中心に同社の持つ豊富なキャッシュを使って自社株買いや配当を望む声が高まっているが、同社CEOのSteve Jobs氏は400億ドルに上るキャッシュを「企業を運営するうえでの保険」として、すぐに株主に対して還元する計画はないと語っている。
同件については英Reutersなどが報じている。昨年2009年の株主総会では健康上の問題を理由に参加を辞退したJobs氏だが、相次ぐ株主らの要求に対してキャッシュの持つ意味を説明し、それが必ずしも株価に対するメリットにならないと説いている。「リスクを取るということは、空中からスカイダイビングするようなものだ。もしパラシュートが機能しなかった場合、そこにいつも地面があることを忘れてはいけない」と例え話をしつつ、仮に現在手持ちのキャッシュを配当などにまわしたとして、株価に与えるインパクトは微少だろうと分析している。
一方で、「Think Big」を推進して同社の価値を高める戦略は積極的なようだ。例えば、今後は海外進出をさらに推進し、今後2年で中国内に25の新規ストアをオープンする計画だという。Mac OS XやiPhoneの市場全体におけるシェアは米国では比較的高いものの、米国外ではまだまだであり、世界進出への注力は同社にとって大きなチャンスとなる。
また今回の会議では間もなくリリースされるiPadについてほとんど触れなかったようだが、これもまた同社にとって新分野への挑戦となる。アナリストらの予測によれば最初の1年で200万~500万台程度が販売されると予測しており、その行方に注目したい。