パソコンは年3~4回、主要メーカーの新製品がほぼ同じタイミングで投入される。その都度、家電量販店の店頭で全ラインアップを細かくチェックして「起動が早くて、セブンのロゴがシャッキリポンと、画面に踊るわ!」「USB! USB! もひとつおまけにeSATA兼用USB!」なんてキャッキャウフフしていると、あっという間に閉店時間となってしまう。

新世代モデルのトレンドを手っ取り早く把握するには、売り場に貼られている各社のポスターを見比べるのがいい。各社の最新技術を投入した注力モデルが大きく扱われているので、注目すべきモデルが簡単に掴めるのだ。

各社のポスターを眺めたら、ひときわ小さなモデルがあることに気づくだろう。それが今回の主役である富士通の「LOOX U」だ。

富士通「LOOX U」。店頭モデルの「LOOX U/G90」は、CPUにIntel Atom Z520を採用しており、2GBメモリと30GBのSSDを搭載している。OSは32bit版のWindows 7 Home Premium。バッテリー駆動時間は約4.0時間となる。実売価格は95,000円前後だ

約1年ぶりにフルモデルチェンジしたLOOX Uは、旧モデルよりもスリムな筐体を備え、スーツの内ポケットに入る"Real Pocket size PC"を標榜している。サイズはW204×D106.5×H23.8mmで、重量は約495g。この小さなボディに1,280×800ドットの5.6型ワイドタッチパネル液晶と約16mmピッチのキーボードを搭載している。

ちなみに、店頭モデルのスペックは上記のとおりだが、富士通が運営する直販サイト「富士通WEBMART」では、CPUのランクをあげたりストレージをSSDに変更したモデルなどを購入することができる。さらには、2010年2月28日までは、「A BATHING APE」とのコラボレーションモデルも注文できる。他人にちょっと差をつけたい人は要注目だ。

旧モデルからコンバチブル構造を省くなど大きな変更を施したLOOX U。メガネ男子がメガネを外すくらい大胆な決断だが、そこにはどんな狙いがあるのだろうか。LOOX U開発チームの指揮を執った小中氏は「開発の際は、前のモデルは一旦おいて、"次のPCってなんだろう"というところから議論を重ねました。最初にターゲットとなる年齢層を確認し、次にカタチ、そしてデザインという順番で決めていったのです。最初のほうにスペックが決まる通常の工程とは違う流れで大変でしたけど、せっかくだから旧モデルとの違いも意識するようにしました。結果として、まったく新しいモデルができたと思います」と振り返る。

新しいLOOX U「U/G90」(左)と2008年12月に発表された旧LOOX U「U/C40」(右)。U/C40はWindows XP Home Editionを搭載し、重量は約565g。5.6型ワイド液晶を回転させることで、タブレットPCとして使えた

"次"を感じさせる新しいパソコンのスタイルを体現すべく、あえてカタチから作り込んでいったというわけだ。しかし、新しいスタイルに普段と違うアプローチで挑むには、それ相応の苦労が伴う。製品作りの流れを追いながら、LOOX U開発陣にその苦労とこだわりについて伺った。

左から、構造デザインを担当したPC事業部 PCデザイン技術部 飯島崇氏、ハードウェア開発の中心となったパーソナルビジネス本部 PC事業部 モバイルノート技術部 小林伸行氏、マネジメントを含めて全体の指揮を執った同プロジェクト課長 小中陽介氏、LOOX Uの企画マーケティングを担当した同本部 グローバルビジネス統括部 中期戦略・商品企画グループ 山岸大介氏