例えば、米Appleが米国などで販売しているTVドラマの各エピソードを現在の1.99ドルから0.99ドルへと値下げしたら販売を伸ばすことが可能だろうか? 利用者にとってはありがたい話だが、この究極の判断についてAppleと主力TVネットワークとの間で議論が続いているという。米New York Times(NYT)が21日(現地時間)に伝えている。
この話は、NYTが同日付けの「Networks Wary of Apple’s Push to Cut Show Prices」という記事の中で報じている。日本ではまだ未展開のため縁遠い話だが、AppleのiTunes Storeでは累計楽曲販売数がもう間もなく100億に到達しようという一方で、2005年末にスタートしたTV番組配信は3億7,500万に到達している。
これが多いか少ないかは判断の分かれるところだが、単純計算でTVエピソード販売だけで累計7億5,000万ドルの売上があり、決して少ない数字ではない。Apple自身はMusic Storeでの経験から99セントという数字がマジックナンバーであることを自負しており、この売上をもう一段加速させるためには"値下げ"という英断が必要だと主張する。実際、NYTによれば全米TVネットワーク最大手のCBSが先週になり一部プログラムの1ドルへの値下げを示唆しており、この実験がスタートしようとしている。
だが、TVネットワークらはせっかく制作費を投じて作った作った番組を安売りすることに懸念を抱いており、同時に系列局やCATVを介しての配信に悪影響を及ぼすことに不安を抱いている。とはいえ、すでに1億以上のクレジットカード情報を抱えるiTunesを無視するわけにもいかず、恐る恐るテスト参加に同意するといった状態だ。