名前がユニークな東大Master。東大といっても、東京大学の学生が開発したシステムという意味ではない。東京証券取引所に上場されている「TOPIX先物」と、大阪証券取引所に上場されている「日経225先物」、「日経225mini」を用いてトレードするため、東大という名称がつけられている。
一番の特徴はシンプルであるということ。シカゴの日経225先物やニューヨーク・ダウ、S&P500などの株価インデックスを指標として、ロングかショートかを判断。エントリーするというものだ。
具体的には9時05分にエントリーし、ロスカットに引っ掛らない限り、大引けまでポジションを持ち続ける。イグジットは大引け間際で、翌日にポジションを持ち越すことがないデイトレードのシステムだ。要は、海外指標の動きを見て、その日1日の日本の株価動向が上がるのか、それとも下がるのかを判断する。
そして、寄り付き時のギャップの大きさによってエントリーシグナルが確定し、その後、実際にエントリーする。エントリー時間が9時05分になっているのは、同システムが5分足チャートを用いているからだ。
また、シグナルについてはRSIやストキャスティックスといったテクニカル分析はいっさい用いていない。あくまでも寄り付きのギャップを判断材料にする。シンプルだがユニークなロジックを採用している。
また、エントリー回数は1日のうち1回だけ。エントリー後はロスカットや、トレーリングストップにヒットしない限り、大引け時間の15時05分にはエグジットするという仕組みになっている。
同システムが発売されたのは2007年10月のこと。以来、2年4カ月が経過したが、今でもひまわり証券が扱っているシステムのなかでは、高い人気を誇っている。通常、この手のトレードシステムは、マーケットの状況が変化していくなかで少しずつ効果を失っていくものだが、このシステムは今でもきちっとシグナルを出し続けている。それだけ再現性のあるロジックが用いられているということの証ともいえそうだ。
過去の実績を見ても、同システムの安定性の高さが伺える。
東大Master(TOPIX)の運用実績を月間ベースで見た場合、2009年2月から2010年1月までの12カ月間で、損益がマイナスになったのはわずか3回だけ。東大Master(日経225)も、損益がマイナスになったのは同じく3回だけだ。各月とも勝率はおおむね50%を大きく上回っている。
デイトレードのシステムといっても、年中、売ったり買ったりを繰り返しているわけではない。あまりにも極端に売買を繰り返すと、コスト負担が重くなり、投資家が受け取るリターンを目減りさせてしまう恐れがある。各月の売買回数を見ると、一番多い月でも16回。少ない月だと4回程度だ。基本的に、エントリーのロジックに合わないと判断された時には、いっさいエントリーしないという仕組みを持っている。
同システムは、TOPIX型と日経225型を選ぶことができるが、売買回数や勝率などを見る限り、両者の間にそう大きな差は認められない。どちらを選んでも、運用成績自体に大きな差が生じるようなことはなさそうだ。
ただし、日経225型の場合、225miniでもトレードすることができる。その分、少ない資金でもトレードが出来るということで、今、一番、利用者が多いのは、この225miniの方になる。