米国第3位の携帯キャリアであるSprint Nextelが、今年夏に米国初となる4G携帯電話を市場へと投入する。米Wall Street Journal(オンライン版)が2月19日(現地時間)に報じている。通信方式はWiMAXとなる見込みで、パートナーのClearwireが運営しているネットワークを利用することになる。

LTEを用いた携帯向けの4Gネットワークサービスについては、昨年2009年末にTeliaSoneraが世界に先駆けて北欧市場で展開を開始しているが、WiMAXを4Gの携帯電話サービスとして大々的に展開するのはおそらくSprintが初のケースとなる。同社は2008年、それまで自身が展開していたWiMAXサービス「XOHM」をWiMAX専業サービス事業者のClearwireへと移管しており、新ブランド「Clear」として両社共同でのWiMAX展開キャンペーンを実施している。モバイルWiMAXサービスはいまだ展開の最中で対応都市数もごく限られるものの、ライバル企業らが今年末から提供を順次開始するとみられるLTEベースのサービスよりはカバーエリアが広くなるとみられる。なおSprintはClearwireとパートナー関係にあり、同社株式の51%を握っている。このほかClearwireにはIntelやGoogle、そしてCATV会社大手などが資本参加している。

QualcommがCDMA 2000に続く4G規格の策定を断念して以降、主力規格としてはLTE (Long Term Evolution)とWiMAXの2つが残るのみとなっている。既存のGSM系キャリアのほとんどがLTE採用を打ち出す一方で、これまでCDMA 2000などのCDMA系規格を採用していたVerizon WirelessやKDDIといったキャリアもLTE採用を表明しており、世界中のほとんどのキャリアがLTEに傾いた状態になっている。だがITベンダーらを中心にすでに実績のあるWiMAXを推す勢力も存在し、今回のSprintのようにすでに展開済みのインフラを利用してWiMAXによる4G携帯サービスを表明するケースもある。米国では前述のVerizonをはじめ、GSM系キャリアのAT&TやT-MobileもLTEを今年末から来年にかけて順次展開する意向であり、孤軍奮闘するSprintが後発勢力を振り切ってどれだけWiMAXを推進できるかに注目が集まることになる。