ここ最近、ヒット作を送り続けている米Appleの申請する特許の数々が面白い。今回はこのうち、米特許商標庁(US Patent and Trademark Office: USPTO)に登録されたもののうち、「3Dマウス」「新型冷却システムを持ったiMac」の2つについて見ていこう。果たして近い将来に実際に商品化されるのだろうか?
「3Dマウス」
Patently Appleの記事「Apple Wants the Magic Mouse to Rock'n Roll!」 |
Patently Appleの記事「Apple Wants the Magic Mouse to Rock'n Roll!」によれば、該当する特許申請番号は20100039394と20100042358の2つ。20100039394の内容を確認すると、タイトルは「HYBRID INERTIAL AND TOUCH SENSING INPUT DEVICE」(慣性とタッチセンサーによるハイブリッド入力デバイス)となっている。日付が2月18日となっており、申請登録されたばかりのものだ。
通常の光学マウスであれば、接地面の移動距離をカウントする赤外線の表面センサに複数のボタンというのが一般的な組み合わせだ。Appleが昨年リリースしたMagic Mouseはこれをさらに発展させ、ボタン部分をMacBookのトラックパッドなどで採用されているマルチタッチのセンサにすることで、さらに複雑な動作の入力を実現している。
今回紹介する3Dマウスはこれをもう一段発展させたものとなり、Magic Mouseがボタン部分の改良だったのに対し、申請中の特許によれば移動量を測るセンサとして3軸ジャイロと加速度センサを搭載し、マウスの3次元移動を認識できるようになっている。
詳細な図はPatently Appleの記事を参照してほしいが、新型マウスの形状はマドレーヌやアーモンドというか、底面側が平らでない点に特徴がある。これにより平面移動だけでなく、左右や前方、手前に本体を傾けた場合の移動量も測定できるようになる。このほか加速度センサにより、本体底面を接地させたまま回転させ、その移動量の計測も可能だ。これにより、「本体の左右への傾け(Roll)」「本体の前方・手間への傾け(Pitch)」「本体の水平状態での回転(Yaw)」という3種類の動きが認識できる。そのおかげで、例えばRollではメニューの横スクロール、Pitchでは縦スクロール、Yawではオブジェクトの回転といった動作を手首の"ひねり"だけで指示できるようになる。
なお、Roll、Pitch、Yawという言葉だが、工学や航空用語で用いられる3次元空間での傾きを示すものだ。それぞれがXYZ軸での傾きを示している。
iMacが水冷を採用!?
次もPatently Appleが紹介している記事「Will Liquid Cooling be Coming to the iMac?」の話題がベースだが、ここで紹介している特許は番号がそれぞれ20080002350と20080291629という形で2008年のものであり、それほど新しくない。
Patently Appleによれば、これは同社の水冷システムに関する特許であり、デザイン上はiMac向けのものに見える。Apple自身は2006年から水冷システムの研究に取り組んでいるといわれ、将来的な必要性に備えていろいろ模索している姿がうかがえる。
なぜいま水冷システムが再びフィーチャーされたのかを考えれば、その答えはプロセッサのコア数増加によるTDPの増大と、そこに内蔵されたディスクリートのGPUが発する熱の増大にある。もともとノートPCのアーキテクチャをベースにしたiMacとはいえ、最近の27インチモデルでは4コアのIntel Core i5を採用し、GPUはディスクリートのATI Radeon HD 4850など、かなりハイエンドのものに近付いている。
さらに今年末から来年初頭での登場が見込まれるIntelの次世代プロセッサ「Sandybridge」では4~8コアが標準になるとみられ、より熱対策が求められる可能性がある。水冷はそのオプションの1つだろう。