ひまわり証券のトレードシステムは、確実に執行されるという評判が高く、多くの人から支持されている。実際にトレードシステムを使っている方々は、どのような気持ちで投資に向かい、どんな生活をしているのだろうか。今回は、東京都内の個人投資家、パウラ・ベイカーさん(ハンドルネーム)のお宅におじゃまして、お話をうかがった。

「ゼロになってもいい」余裕資金で投資

ベイカーさんは、第1回ひまわり証券シストレコンテストにて入賞し、その後日経225先物のデイトレーディングを「トレードシグナル」にて自動売買している。成績の方はどうなのだろうか?

「昨年(2009年)はトントンでした。ボラティリティ(相場の上げ下げ)が少ない年でしたので、こういう時はシステムトレードはあまり利益が出ません。自分としてはうまくしのげたと思っています。今年(2010年)に入ってからは、少しずつ利益が出るようになっています」。

ベイカーさんは、現在専業の投資家だ。「少しずつ」などというのんきなことでいいのだろうか。生活がかかっているのではないだろうか―。おせっかいながらも、素朴な疑問が浮かぶ。しかし、ここがベイカーさんのすごいところ。「マネーコントロール」を、極めてきちんと考えているのである。

システムトレードを行っている個人投資家、パウラ・ベイカーさん

ベイカーさんは元医師。開業医をしてきたが、年齢的なことを考えて引退した。その時、家族には、老後の生活が保障されていることを話し、残りの資金で投資をしてみたいと相談。奥さんは「何もしないでいるよりもずっといい」と、快く賛成してくれたという。つまり、ベイカーさんの現在の投資資金は「万が一、ゼロになっても生活に支障のない」資金なのだ。

裁量トレードでうまくいかない時期、「システムトレード」に出会う

しかも、ベイカーさんは自分を"見習い投資家"と呼ぶ。医師を引退してすぐ始めたのは、自分で投資をする裁量トレードだった。元々トレードに興味をもっていたため、全くの素人ではなかったものの、うまく利益が出せない。そこで、ベイカーさんはセミナーや投資クラブに通って勉強をすることにした。そこで、システムトレードと出会った。

トレードシステムを購入し、それを参考に自分でトレードプログラムを作り始めて現在に至る。「現実には、さまざまな難関がありますから、夢の夢ですけど、将来はできれば投資ファンドを立ちあげてみたい」と大きな夢を語るベイカーさん。夢は大きいながら、今の自分の実力をしっかりと把握し、無理をしない。この辺が、ベイカーさんは"大人"なのだと言えよう。まだまだ利益はわずかかもしれないが、そこにはこだわらず、自分のやるべきことを着実にこなしている。投資のスタイルにも余裕があるし、話をうかがっていて人間的な余裕が感じられた。

ベイカーさんが使っているという、ひまわり証券の「トレードシグナル」紹介ページ画面

よく、会社を思い切って退職して、トレードに全てをかけるという人もいるが、そういう人は必ずといって良いほどつまずくという。「よくシステムトレードは6勝4敗などといわれますが、負けるときは連敗することが多いんですね。ある時期だけ見たら2勝8敗なんていうこともあります」。

ぎりぎりの資金でトレードをしていると、このような連敗の時期に資金が底をついてしまい、せっかく利益がでる局面になっても勝負できないということになりかねない。「システムトレードはトータルでは大勝ちはできません。でも大負けがなくなって、少し勝てるといったイメージです」。

「凡人であることを自覚」、地道にトレードの勉強

ベイカーさんは、100人のうち3人ぐらいは、天性の資質を持つ裁量トレーダーが存在するという。「そういう人は少し話をしただけでも、普通の人とちょっと違うなというのが伝わってきます。私の場合は、裁量は全くだめで、凡人なんです」。ベイカーさんは凡人であることを自覚しているからこそ、地道にトレードの勉強を続けている。「受験勉強によく似ています。過去問を解いて、模擬試験を受けて、本番の試験に臨むわけです」。

今、ベイカーさんのテーマは、トレードプログラムの作成と資金管理だ。これから投資を始めようという人が悩みがちなのは、「今定期預金が500万円あるけど、このうちいくらを投資資金に回せば、安全なのだろうか」ということだ。500万円まるまる投資に回すのは怖いが、50万円しか回さなければ大きな利益は望めない。ベイカーさんは、そこから考えるのではなく、まず投資で年にいくら利益をあげたいのかしっかりとイメージすることだという。年に50万円稼げればいいのか、それとも300万円は稼ぎたいのか。そこが決まれば、投資資金がいくら必要なのか逆算していける。

現在、ベイカーさんが実行している資金管理方法は、利益がでたら投資資金を増やし、損失が出たら減らしていくという方法だ。「例えば、mini1枚25万円を5枚から始めたとします。そして25万円の利益がでたら、1枚増やして6枚にします。こうすると、増やした1枚は複利で回していくようなイメージになるわけです」。もし、25万円の損失が出た場合は、1枚減らして、投資資金を減らしていく。

「欲と恐怖」のマインドコントロールがテーマ

もうひとつ克服しなければならないテーマが「欲と恐怖」のコントロールだという。「利益がでると、どうしても欲が出てきてすぐに利益を確定したいとか、損失が出ると怖くなって早く手じまいたいという心理がどうしてもでてきてしまいます。でも、それをやってしまうと、システムトレードになりません」。

そのためにも、余裕資金で投資することがベイカーさんにとっては重要だった。しかし、これはある意味仕事を頑張ってきたからで、だれにでも真似できることではない。「私はトレードルールを紙に書いておきますし、家族にも言っておきます。家族は何のことだからわからないかもしれませんが、人に言うことでトレードルールを守れるようになります」。

ベイカーさんの投資家としての財産は、人間力と人生経験だ。自分のトレーディング能力がどのくらいあるのかをきちんと見極めて、余裕のある投資を楽しんでいる。「投資は儲かりさえすればそれでいいのか?」という私たちの疑問に、ベイカーさんは行動で答えてくれる。投資を楽しめなければ、儲かっても意味がない。ベイカーさんは、現在日経225やNYダウ関連の情報発信サイトを運営するOfficeSamsonという会社の取締役として投資クラブを共同で開き、情報配信や勉強会を主宰している。多くの仲間たちと夢を語りあい、研究をする毎日は続く。

(※株式会社OfficeSamsonのURLは、 http://www.officesamson.net/ となっている)