メモリメーカーの米Micronは2月9日(現地時間)、スイスに本社を置く半導体メーカーのNumonyx Holdings BVの12億7,000万米ドルでの買収で合意したと発表した。買収は全額株式交換で行われる。
Numonyxは2008年3月に米IntelとスイスのSTMicroelectronicsのフラッシュメモリ事業がスピンオフする形で誕生したメーカー。設立には投資会社の米Francisco Partnersも携わっている。Numonyxは不揮発性メモリ、いわゆるNORやNANDなどのフラッシュメモリを得意としており、特にNOR型フラッシュでは世界一のシェアを誇っている(2009年時点)。だが最大のライバルのSpansionがそうであったように、稼ぎ頭だったフラッシュ事業は価格競争等で赤字を生み出すことも多く、経営健全化を目指してNumonyxという名称の独立した事業体としてスピンオフされる形となった。一方でAMDと富士通の合弁会社だったSpansionは2003年にAMDが経営権を握る形となり、2005年にスピンオフされ、2009年に経営破綻でチャプター11を申請するに至っている。
Numonyxはフラッシュメモリのほか、PCM(Phase Change Memory)またはPRAM(Phase Change RAM)と呼ばれる相変化型不揮発性メモリの開発研究でも知られている。NANDフラッシュより書き換え寿命が長く、レイテンシの少ないPCMは特にハイエンド市場で大きな力を発揮することが期待されているが、研究から実際の商品化まで非常に長い月日が経過しており、PCMをプッシュする唯一のメーカーがNumonyxだけという状態になっていた。2009年6月には韓Samsungとの提携を発表しており、PCM技術のPCやモバイル機器への転用を模索しているとの表明を行っていた。
なおNumonyx買収後のMicronだが、DRAMからフラッシュメモリまで、幅広いメモリ製品をカバーする総合メモリー半導体企業を目指すという。Numonyxはすでにフラッシュメモリの世界シェアで3位のポジションにあり、これにMicronのDRAMソリューションが加われば競争力が増すという戦略だ。一方で携帯やデジカメなどモバイル機器の需要は依然として高く、NOR型/NAND型の両フラッシュメモリを製品ラインに組み込むのが得策との判断もあるとみられる。