以前までのタブレットPCから連想できるのは、医療や製造現場など、特定用途向けのビジネス端末のイメージだった。米Appleは自身のタブレット製品「iPad」をコンシューマ市場に持ち込もうとしており、従来のタブレットのイメージをどう変えることになるだろうか。そうした中、元来タブレットが活躍していた医療現場で、医師らが5人中1人の割合でiPad導入を検討しているというアンケート調査結果が出てきた。
今回アンケート調査を行ったのは米Epocratesで、同社はiPhoneやBlackBerryなどのモバイル端末やオンラインサービスを組み合わせた医療ソリューションを提供している。iPhone最初期の医療アプリを開発したメーカーでもある。Epocratesのサーベイに関する情報はApple Insiderの記事で確認できる。
同社がユーザーである350人の臨床医に対してアンケートを実施したところ、全体の6割以上がiPadに関心を持っており、さらに5分の1が実際に購入の意向を示したという。この購入希望者のうち、回答者全体の9%が発売後すぐの購入を予定しており、13%が1年以内での購入を計画しているという。一方で38%の回答者はiPadに関心を持ちつつも、実際の導入にはより詳しい情報が必要と判断しているようだ。
Epocratesのアンケートが示すのは、同社のiPadにおける潜在的な顧客がどの程度いるかを推し量るとともに、コンシューマ市場をメインターゲットに据えているiPadが、今後どの程度既存のタブレットビジネスに侵食していくかのバロメータにもなる。医療分野など、こうした垂直統合市場は特定企業がすべてソリューションを用意してベンダーロックインの状態にすることが多く、新興勢力がどの程度こうした分野でシェアを伸ばすことになるのかに注目が集まることになるだろう。Epocratesによれば、同社のソフトウェアは世界の内科医向けのソリューションで現在2割以上のシェアを握っているという。