HDDを専門とするデータ復旧大手の日本データテクノロジーは、2009年にデータ復旧依頼をうけた約44,000台のHDDをPCメーカー/外付けドライブメーカー/HDDメーカー/製造年などに分類した「2009年ハードディスク データ復旧統計」を発表した。

同社にデータ復旧依頼で持ち込まれた機器を形状別に分類すると、デスクトップPC(21.3%)/ノートPC(19.7%)/外付けHDD(USB接続、NAS)が32.3%、ユーザーが機器から取り外し持ち込んだHDDが26.2%、DVDレコーダーなどの録画機器が0.4%となっている(グラフ1)。

グラフ1:持ち込まれた機器の形状別比率(2009年にデータ復旧依頼を請けた約44,000台中の割合)

データ復旧依頼を請けたデスクトップPCのメーカートップ3はDell/アップル/NEC(グラフ2)、ノートPCのメーカートップ3はNEC/東芝/ソニー(グラフ3)、外付けHDDメーカーのトップ3はバッファロー(メルコ含む)/アイ・オー・データ機器/ロジテック(グラフ4)となっている。

グラフ2:デスクトップPCメーカー別比率

グラフ3:ノートPCメーカー別比率

グラフ4:外付け型メーカー別比率

データ復旧依頼を請けたデスクトップPC、ノートPC、外付けHDDに内蔵されたものも含めた、全HDDのサイズは3.5インチが64.2%、2.5インチが34.2%(グラフ5)。3.5インチサイズで最も多かったのはWestern Digital/Seagate/SAMSUNG/日立(HGST)の順(グラフ6)。2.5インチサイズで最も多かったのは東芝/日立(HGST)/富士通/Seagate/Western Digitalという順番(グラフ7)。

グラフ5:HDDサイズ別比率

グラフ6:3.5インチHDDメーカー別比率

グラフ7:2.5インチHDDメーカー別比率

復旧依頼に持ち込まれたHDDの記載製造年数は2005年が最も多く、全体の傾向はストレージ市場の拡大による右肩上がりと正規分布を掛け合わせた推移となっているという(グラフ8)。ただし、2008年製のHDDのデータ復旧依頼は突出しており、この年に製造されたドライブに関しては注意が必要としている。この傾向が今後も続くと仮定した場合、2010年にデータ復旧が必要となるHDDは2006年製が最も多くなる可能性を挙げている。

グラフ8:製造年別比率

HDDの製造年とドライブメーカーの推移を見ると、最も正規分布に近い推移をしているのが東芝製ドライブ(グラフ9)で、2004年の4.0%(データ復旧依頼のあった全ドライブに占める率)がピークとなっている。この傾向が今後も続くと仮定すると、東芝製に関しては、2010年は2005年製(60GB前後)のドライブは注意が必要としている。Western Digital製ドライブも2008年を除けば正規分布に近い推移をしており、ピークが2005年であることから今年は2006年以前に製造されたドライブへの注意を呼びかけている。Seagateに関しては、2004年までは5番目、7番目、5番目の割合で、世界シェア1位であることを考えると極めて低い率で推移していたが、Maxtor買収発表の2005年以降、徐々に率が高くなっている点を挙げている。

グラフ9:製造年/メーカー別比率推移

また、2008年製のデータ復旧依頼が突出している理由として、Western Digital、Seagate、SAMSUNGが前年より率が高くなっている点を要因としており、理由不明なものの、HDDに関しては2008年製はいわゆる「ハズレ」の可能性があるとしている。

なお、データ復旧依頼されるHDDは、およそ4~5年前に製造された製品が最も多く、現在販売されている製品の品質とは異なるとしている。また、データ復旧依頼に至る理由は、機器の故障だけでなく、ユーザーの誤操作によるデータ消去/機器の落下など、メーカーの品質に関係しないケースも含まれる点、あくまでデータ復旧依頼されたメーカーの台数把握で、販売された台数(市場シェア)ではない点、シェアの高いメーカーの製品ほど、データ復旧を依頼されるケースが多い点を注意点として挙げている。例えばA社製品のデータ復旧依頼が100件、B社製品が10件の場合、販売台数がA社製品が100,000台、B社製品が1,000台であれば、その率はA社製品0.1%、B社製品1%となる。