Appleが発表したiPadの主要ターゲット市場として、教育分野があるといわれているが、先月1月27日に開催されたスペシャルイベントで同社CEOのSteve Jobs氏はこの件についてほとんど語らなかった。だが水面下では、教科書や教材などの電子化を進めるプロジェクトが業界関係者らの取り組みにより進んでいるようだ。
米Wall Street Journalの「Textbook Firms Ink E-Deals For iPad」という記事によれば、電子機器向けの教育コンテンツのノウハウを持つ米ScrollMotionが、複数の大手教科書出版社との提携で教科書の電子化を進めているという。具体的には教科書アプリケーションの開発のほか、テストの予習、学習ガイドなど、iPadのようなデバイス向けにアプリやコンテンツを用意するというものだ。
このプロジェクトに参加している教育出版社は、以前にも挙がっていたMcGraw-Hillのほか、Education Media & Publishing GroupのHoughton Mifflin Harcourt K-12、Pearson PLCのPearson Education、Washington PostのKaplanなどの名前が見受けられる。市場調査会社のCompass Intelligenceによれば、米国の教育市場における技術投資額は2008年の476億ドルから、2013年には619億ドルに上昇する見込みで、1つの大きな目玉になることが予想されているという。
現在、教育分野にはPCが広く導入されているが、可搬性などの問題から電子化されたコンテンツによる教育はあまり浸透しておらず、iPadのようなタブレット型デバイスは市場のトレンドを変化させる可能性を秘めている。Appleから具体的な話はまだ出ていないものの、関係者らの証言によればiPadの主要ターゲットとして教育市場は依然として検討対象になっており、プロジェクトの進展とともにいずれ明らかにされる可能性が高い。