山田洋次監督の最新作『おとうと』が30日、公開初日を迎え、東京・有楽町の丸の内ピカデリーで山田監督、主演の吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優らが舞台挨拶を行った。

映画『おとうと』の初日舞台挨拶。左から加瀬亮、蒼井優、山田洋次監督、吉永小百合、笑福亭鶴瓶、石田ゆり子、小林稔侍

本作は、山田監督10年ぶりの現代劇。東京の郊外で生きてきた姉(吉永小百合)と、大阪で芸人に憧れいつしか歳を重ねてしまった弟(笑福亭鶴瓶)との再会と別れを描いた物語で、家族の絆や人生、別れについて切々と問いかける、笑いと涙に溢れた作品となっている。

山田監督は「去年の今頃からこの映画の撮影を始め、1年以上が経ちます。長い間この封切を待ち構えていたんですが、ついにその日を迎えて感無量」と、感慨深そうに話した。また、吉永は「昨日は、胸が躍って、そして不安で眠れませんでした」と告白し、「家族の物語ですが、施設の中での看取りの問題など、いろいろ考えながら演じました」と語った。本作では15kgの減量を行って撮影に挑んだ鶴瓶は「僕でよかったのか、と思っていたんですが、編集されているのを見たときに思ったのが、『痩せてよかったな』というのと、『山田組に入れてよかった』ということ」と、俳優モードで真面目に本作に参加できたことへの喜びを語った。

吉永に「次は夫婦役ね」と言われ、指きりで約束したという鶴瓶。「監督に伝えたら、『段々厚かましくなってますね』と言われた」(鶴瓶)

吉永との共演について、蒼井は「近くでお芝居を見れて幸せ。楽屋でも沢山話させていただいて…」と、嬉しそうに話した

また、この日、本作のベルリン国際映画祭での特別功労賞(ベルリナーレ・カメラ賞)受賞が決定したことが発表された。鶴瓶はこれについて、「吉永さんが、山田監督を『胴上げしたい』とずっと言ってらっしゃった」と、吉永の舞台袖でのはしゃぎぶりを暴露。「(吉永さんに)できない、って言うてるんですけど」と言いながらも、「結構握力あるんでいけるかも」と吉永をからかい、吉永を笑わせた。

山田監督は「市川崑さんの『おとうと』がヒントになって作った作品。市川さんが生きてらしたら、すぐに市川さんに報告できるのに」と、市川監督への尊敬と感謝を語った。また、吉永は監督と抱き合って受賞を喜んだ

映画『おとうと』は現在公開中。(C)2010「おとうと」製作委員会