インテルは1月25日、業界関係者向けイベント「Intel Forum 2010」を開催した。1月に発表された新世代Coreプロセッサ製品のキックオフの意味合いを持たせたイベントで、同社講演では新プロセッサによる変革が訴えられ、併設ショウケースでは各PCメーカーによる新プロセッサ搭載PCの一斉展示が実施された。
32nmプロセスを採用し、ハイエンドのCore i7からスタンダードなCore i5、廉価なCore i3まで揃った新たなCoreプロセッサを搭載した数々のPC製品が、各社から発表された。イベントは、インテルの代表取締役社長、吉田和正氏の基調講演で幕をあけた。同氏は、プロセッサの進化が、人々のライフスタイルやビジネスの大きな変革を可能にすると説明する。
インターネット環境は激変を遂げ、2000年に3億6,100万人だったインターネットユーザーは、2009年には17億人を超えた。そこで展開されるサービスの内容も、動画共有サイトや、SNS、Twitterなど、以前では考えられなかったような新たな発想のものが続々と生まれている。高精細なビデオカメラやデジタルカメラが一般的になり、コンテンツの高品質化も進んだ。PC以外でもスマートフォンなど携帯端末の普及もトピックだ。
これらは人々のライフスタイルに大きな変革をもたらし、個性的に多様化させた。それを支えたのは、パソコンの革新であったと、吉田氏は語る。インテルは、ユーザーがライフスタイルのさらなる進化、より豊かな体験を求めた際、その中心的存在は、これからもパソコンでありたいと考えていると話す。
ビジネスを変革するための各種の機能強化も紹介された。新世代Coreプロセッサに搭載される「Intel vPro」テクノロジでは、従来以上に高い性能だけでなく、優れた電力効率も伴うこと。運用管理機能の充実や、より強固なセキュリティも実現されているという。さらに、POS製品や車載製品といった分野にまでインテルアーキテクチャ(IA)の普及を目指し、社会インフラの進化をも支えて行くという。
基調講演には、ゲストとして慶応義塾大学 大学院 政策・メディア研究科 教授の金子郁容氏も登壇した。同氏は、高齢化が進んだある限界集落にPCとネットワークを利用した遠隔医療のシステムを導入し、行なった調査を紹介した。結果は良好で、それまで遠い医療機関に無理をして通っていた高齢者が、PCシステムを利用することで日々のライフスタイルを変化させることができたという事例の紹介があった。PCの変革は若者だけのものではなく、広く社会に及ぶことが説明された。
吉田氏は、2010年に期待することとして、AtomやCULVで裾野を広げたモバイルコンピューティングの展開をあげた。モバイルブロードバンドの整備は重要で、インテルでは、WiMAXを後押しすることでこれに注力することが強調された。同氏は最後に、今あるものを単純に変えていくのではなく、今までになかったような新しい製品を、インテルのシリコン技術と、そしてメーカーと一緒に実現していくと述べた。
WiMAXでは、UQコミュニケーションが、基地局数5,000局を突破したという発表があった(関連記事はこちら) |
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