シャープブースは黄色のペイントでQuadPixelをアピール

2010 International CESでシャープは、液晶テレビ「AQUOS」で新開発の「QuadPixel」技術を搭載したモデルを出展した。従来の液晶パネルが赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)の3色の光で色を再現していたのに対し、QuadPixel技術ではこれらに黄(Yellow)を加えたRGBYの4色で表示を行うことで画質の向上を図っている。

従来、RGB各色10bit(1,024段階)階調の液晶パネルではおよそ10億色の表現が可能だったが、ここにYの10bitが加わることで1兆色以上の表示が可能になり、グラデーション部分の階調などがよりなめらかになるとしている。表現可能な色域自体も広がっており、金管楽器のような黄色・金色をよりリアルに再現できるようになったという。

RGBにYを加えた4色表示により、なめらかな階調やより鮮やかな色が表現できる

QuadPixelを搭載したLED AQUOSとパネル表面の拡大(右下)

QuadPixel技術は、シャープが昨年秋より製造を開始した「UV2A(Ultraviolet induced multi-domain Vertical Alignment)」と呼ばれる新しい液晶パネルに組み合わせる形で採用を始める。UV2Aパネルは従来のASVパネルに比べて開口率が高いため効率よくバックライト光を使うことができるのが特徴で、コントラストや応答速度も向上させている。

開口部が広いのでより明るく、しかも光漏れが少ないのでコントラストも高くなるUV2Aパネル

応答速度も高速。黒→白への変化を同時にスタートしたところを高速度撮影すると、UV2Aは既にほぼ白になっているのに対し従来のASVではまだ暗い

今回のCESでは、QuadPixel技術を搭載した北米市場向けの製品として、3シリーズ11モデルをラインナップし、画面サイズは40インチから68インチまでを用意する。3月以降順次発売し、価格はLC-40LE810UNの1,799.99ドルから。

3D対応BDプレイヤー内蔵のAQUOSや太陽電池なども

今回のCESで最大のトピックとなった3Dに関しては、「Blu-ray 3D」規格対応プレイヤーを内蔵した60インチLED液晶テレビが出展された。3D映像のためにテレビとBlu-ray Discプレイヤーの両方を買い替えるのならば、このようなオールインワンモデルを導入するほうが簡便なため、特に3D市場の立ち上がりの時期に受け入れられやすい製品と言えるだろう。このテレビもUV2Aパネルを搭載しており、左目用・右目用それぞれの映像を素早く切り替えて表示しなければならない3D映像には、明るく応答速度の速いUV2Aが有利と強調されていた。

Blu-ray 3Dプレイヤー内蔵の60インチLEDテレビ。側面にディスクを入れるスロットがある

そのほか、昨年10月にオーストラリアで開催されたソーラーカーレース「2009 Global Green Challenge」の優勝車両を展示した。これはシャープ製の化合物太陽電池を装備した東海大学チームのソーラーカーで、4日間かけてオーストラリア大陸を北から南へ約3.000km縦断した。

Global Green Challengeで優勝した、シャープ製太陽電池搭載のソーラーカー

長年太陽電池の世界シェア首位を走り続けてきたシャープだが、わずか数年で急激にシェアを拡大したQセルズ(ドイツ)、サンテックパワー(中国)、ファーストソーラー(米)らに抜かれ、現在では追う側に回っている。展示ブースでは、3月より太陽電池の生産を開始するという大阪・堺新工場の規模などもアピールし、太陽電池市場での巻き返しを図る姿勢を示していた。