これまではEV JAPANのゾーン、ブースであったが、ここからはカーエレJAPANの方の各社ブースの紹介をしたい。
カーボンボディのEVモデル
東レのブースでは、同社の素材技術を応用したEVのモックアップが展示されている。半分にカットされたボディはカーボン製で、フロントグリルはABS樹脂製。ラジエータタンクにはナイロン樹脂が用いられており、インバータケースにはPPS樹脂、そしてフィルムコンデンサにはPPフィルムといった具合に自社の素材がいたるところに活用できることを見ることができる。
また、このほかにも、さまざまなカテゴリ向け技術の紹介も個別に行っている。例えば、車両電動化技術として、「次世代ハイブリッド・EV自動車用H種相当積層絶縁材料の開発」として、従来接着剤を用いていた耐熱H種相当積層絶縁技術を接着剤なしで行える材料の提案が行われているほか、電子情報技術として、液晶ディスプレイ向け「ハイブリッドカラーフィルタ」やRFIDやETCなどの無線通信システムの通信安定化が図れる「電波吸収体製品」などが展示されている。
導光板を活用したサンルーフ
住友ベークライトのブースでは、参考出展として省エネ導光板「SUNLOYD LUMI-KING」を活用したサンルーフ兼車載照明を実現する「ルミキング サンルーフ」が出展されている。
導光板を自動車のルーフ形状に合わせて曲面に加工して提供するほか、エッジからLEDの光を入れることで薄型化が可能なほか、面発光に変化させることで優しい灯りを演出することが可能となっている。
また、グラフェンを活用したリチウムイオン電池用負極材や一般的には薄い鉄板を重ね合わせるステータコアをエポキシ樹脂の粉体塗装により薄膜絶縁を形成、コイル占有率を向上させることを可能としたモックアップなどの展示も行われている。
車載情報端末向けSoCのデモを実施
東海物産のブースでは、ルネサス テクノロジの車載情報端末向けSoCである「SH-Navi」シリーズを搭載したデモを行っている。
デモが行われているのは「SH-Navi2V(SH7774)」と「SH-Navi3(SH7776)」の2つのデバイス。SH7774のデモでは、2台のカメラの画像を1つの画面に合成して30fpsで表示するということが行われている。一方のSH7776では、デュアルコアである特長を生かし、片方のCPUコアでバックモニタの処理を、もう片方のCPUコアで自社グラフィックスプロセッサ(RGP)による3次元ナビゲーション画像とOpenGL ES 2.0による画像処理、およびメディアプレーヤによる動画の再生が行われている。
また、SH-Naviのほかにも、ルネサス東日本セミコンダクタの車載半導体向け小型・複合化パッケージ技術などの紹介も行われている。
ルネサス東日本セミコンダクタの紹介として置かれている6/8/12インチ(150/200/300mm)ウェハ。ウェハの上に展示されているパネルがパワー半導体の紹介なので、300mmウェハでパワー半導体の製造をしているのかと思ったが、単に300mmウェハのパッケージング技術を有していることのアピールとのことであった |
ルネサス東日本が提供する各種パッケージング技術 |
MATLAB/Simulinkとの連携でモデルベース開発を加速
ベクタージャパンのブースでは、同社のECU開発ツール「CANoe」の1月18日にリリースされたバージョン「CANoe 7.2」で取り入れられた新機能などのデモが行われている。
CANoe 7.2で追加された機能の中でも最も注目されるのがMATLAB/Simulinkとの連携強化を目指したモデルビューワの機能拡張。これまでのモデルビューワは、MATLAB/Simulinkで作製したモデルをCANoe上で表示するだけで、そのパラメータを表示することができなかった。このため、パラメータを変更した結果を見るには一度Simulinkに戻って数値を変え、再びCANoeに落とすという手間がかかっていた。
数値データを表示し、モデルと比較することは可能だったが、モデルベース開発ということを考えると、非常に使い勝手が悪く、開発規模が大きくなれば、その負担も増大していくため、「国内のメーカーを含め、ユーザーから使い勝手の向上が要求された」(同社説明員)とのことで、モデルビューワ上でSimulinkで作製されたパラメータをいじれるようにし、リアルタイムでその変化をビューワ上で確認できるようになった(ただし、ビューワ上で変更している値はCANoe上の数値でありSimulinkのパラメータに変更はされない)。
一番前のウィンドウがCANoe 7.2で機能拡張されたモデルビューワ。色が着いている部分がSimulinkから得た各種のパラメータの数値で、これがリアルタイムで変化する様子が見えるようになった(色については、ユーザーが好きに設定できるため、用途に応じた分け方などが可能だ) |
このため、例えば開発請負先がSimulinkのパラメータを作製、それを請負元がモデルビューワで確認を取って、修正を指示、といったことが容易にできるようになるという。
また、同社ではモデルベース開発促進として、測定/キャリブレーション用ツール「CANape v8.0」のオプション「Simulink XCPサーバー」の紹介も行っている。
こちらはサードパーティのモデルベース開発ソフトで開発されたモデルにXCPサーバーを加えることで、本来はECUをつないだ後にしかできなかったCANapeによる各種測定をモデル上で実行することが可能になるというもので、これによりECUが開発されていない状態でも各種のテストを実行することが可能となり、シミュレーションと実機による測定結果の比較などを容易にすることが可能となる。