米Appleが27日(現地時間)に発表すると噂されているタブレット型デバイスだが、これがビジネス的視点から何を意味するのか検証してみよう。
米Wall Street Journal(オンライン版)が20日付けで公開した「Apple Sees New Money in Old Media」という記事では、Appleが狙う市場ターゲット、メディア業界への影響などについて分析している。
Appleがタブレット製品でAmazon.comのKindleに代表される電子書籍市場攻略を狙っていることは以前に紹介した通りだが、WSJのレポートによれば、同社は他にも米CBSや、ABCを傘下に持つ米Walt Disneyといった全米5大ネットワークとも提携交渉を進めており、TVプログラムの月額サブスクリプション提供を計画しているという。このほか米Electronic Artsのようなゲームパブリッシャーとも共同作業を進めており、タブレット製品のゲーム機としての能力を引き出すべく日夜開発を続けているという。
Appleは、タブレットを家庭におけるメディアアクセス端末のような位置付けで考えており、こうしたメディアプレイヤー機能に加え、日々のニュースや電子メールチェックなど、家族複数人で共有して利用するようなスタイルを思い描いているようだ。
この他面白い試みとしては、電子教科書としての利用が挙げられる。単に読み書きするだけでなく、その場でいろいろ調べたり、動画やインタラクティブコンテンツを使ってより効果的に授業を行える可能性がある。タブレットにおけるUIは手書き文字以外にも、バーチャルキーボードによる文字入力も可能だという。前述の新聞や雑誌のコンテンツも、どのように従来と異なった形で見せられるかの工夫に力を割いているようだ。
Appleがタブレットで目指すものは、普段の生活にどうタブレットをなじませ、従来型メディアを変化させられるかという点にあると、WSJでは分析する。数年前、同様のタブレット型デバイスを市場投入して失敗した経験のある台湾MicroStar InternationalのシニアバイスプレジデントHenry Lu氏は「タブレットの成功はどのように日々の生活にフィットするかにかかっている。それを使うことが重要だと納得させられるだけの十分なコンテンツを用意する必要がある」と述べている。旧来メディアとの提携交渉の噂が多数漏れ聞こえてくるのも、その成功コースに乗るためだろう。はたしてAppleは、iPod+iTunesのようなヒットをタブレットで生み出せるのだろうか。