日本市場拡大図る
Sanminaが日本法人を設立したのは2001年9月。現在は、新横浜に本社と滋賀県野洲に製造工場を持つ。日本市場に対する戦略は、基本的には世界市場の戦略と変わらない。世界のEMSメーカーとして、Sanminaの顧客であるOEMメーカーの顧客に対して、彼らがビジネスをしている世界の地域において、エンド・ツー・エンドのソリューションを提供するという戦略だ。「当社は顧客のためにTCO(total cost of ownership)に注力する」として、流通やサプライチェーン、材料までも含めたすべてのコストを下げることにフォーカスするという。「日本はビジネスの活力な国であり、わが社の顧客に最高級の選択肢を与えてくれる国だ」と日本に期待する。
さらに、日本にプレゼンスを置くと、最先端の技術とイノベーションを持つ日本の大手電子機器メーカーと深く関係する機会が生まれる。同社は、こういった日本企業や日本の生産工場に接近することを活発に行い、キーパートナーの開拓に役立てると見ている。
Sanminaは、日本の販売および技術サポートを1本化している。日本語での文書ややり取りも受けつけており、日本法人のチームは高いスキルを持ち、海外の生産工場とコラボしているという。日本の電子機器メーカー大手数社と一緒に取り組んできたが、その内容について秘密保持の立場からコメントできないとしている。
不況が来る前に企業体質改善
今回の世界不況で多くのEMSメーカーは売り上げを減少させた。Sanminaはどうか。
同社もご多分にもれず、この数四半期の売り上げは凹んでいる。不況のせいもあるが、2008年初頭にパソコン分野から撤退を決断したことも影響している。しかし、Sanminaは創業30年の実績がモノを言い、厳しい不況にも強い世界企業になったという。売り上げが減少したとはいえ、直近の数四半期は予算どおりの売り上げをキープし、売り上げ以外の財務指標、例えば強い流動資産と資本は他社よりも有利な数字だと同社は信じている。さらに同社はリストラクチャをすでに完了し、負債を支払い、必要な経費はもうかからないはずだとしている。
Sanminaは、景気後退にさらされて健全な財務判断をするだけではなく、次の浮揚に向けた準備を行うことが活力を生み出すと信じている。同社は「キーカスタマとの関係を維持するために努力し、この不況の間すべての顧客と、品質や納期、技術、トータルコストについて絶えず改善していくことをやってきた」としている。同時に、成長分野の新しいチャンスを探し続けている。
売り上げが減少した時、どのようにして対処してきたか。どのような経済状況にもかかわらず、ビジネスを実践することがやはり成功するための王道につながるとする。Sanminaの顧客である電子機器メーカーは、常に優れた顧客サービス、専門知識、低コストの差別化技術を期待している。同社の顧客との関係は常に付加価値を与えるようなパートナーシップを進めてきた。各顧客のニーズにベストを尽くすために、腹を割ってオープンにすることがパートナーシップとの関係だろうという。
Sanminaはまた、社内の業務改善にも取り組んできた。その結果、同社はクラウドコンピューティングを早くから採用した企業の1つになった。IT部門のフレキシビリティを上げ、コストを下げ、社内外ともクラウド技術を一歩リードすると前向きだ。当社全体の組織全体を横串にしてもっと透明性を上げたため、もっと便利になったとしている。
代替エネルギー分野へも拡大
経済不況が回復することがはっきりしてきた現在、Sanminaは、絶えず変化し続ける顧客のニーズを掴み実践し拡大し続けていく。経済状況によって、電子機器メーカーはEMSメーカーとパートナーを組むという決断をすることがままある。Sanminaは電子機器メーカーのビジネスに最大源の恩恵を与えられるように支援できると自信に満ち溢れている。
Sanminaにとって戦略的な方向とビジョンは、ドラスティックには変わらない。これまで通り、強い分野、すなわち医療機器、防衛宇宙航空機器の分野に集中し、より強くしていく。加えて、急成長が見込まれる代替エネルギー分野と光システムの分野もウォッチし続け、同社の強みが最大限に発揮できしかも注力する意味のある分野を決めていくという。顧客の名前は明らかにできないが、この分野でも世界的な電子機器メーカーを顧客に持つという。
代替エネルギー分野も、同社の強みとうまく合う可能性のあるエネルギー分野を狙う。例えば風力発電。この分野で世界の2強に入る大手のOEMメーカーとコラボしているという。太陽光発電も同様に同社の強みが生かせる分野だというが、風力の方が大きく成長すると見ている。
同社は光技術にも大きな投資をしてきており、光システムの製造にも30年以上のノウハウを持つ。Sanminaの光製品には、光部品(アクティブ、パッシブとも)や、光モジュール、光サブシステム、光システムがある。さらに米国内だけではなく中国にも光製品の生産拠点を持っている。
加えて、電気自動車やLED照明などにおいても大手電子機器メーカーとコラボしている。