2月中旬にスペインのバルセロナで開催されるMobile World Congressにおいて発表が噂されるMicrosoftの「Windows Mobile 7(WM7)」について、新たな情報が出てきた。同社携帯向けの新OSでは2つのバージョンが存在し、「HTC Obsession」「LG Apollo」という2つの端末が新OSの機能をフルスペックで包含した初の対応製品になるという。
同件について報じているのはWM Expertsの1月18日(米国時間)付けの記事で、複数のソースを基に情報をまとめたものだという。WM Expertsによれば、今回リリースされるOSは「Windows Mobile 7」というよりも、「Seven」というフレーズが使われているようだ。各バージョンも「Windows Phone Seven」という名称で呼ばれており、製品名のリブランディングが行われる可能性がある。
・Windows Phone Seven Business Edition (BE)
・Windows Phone Seven Media Edition (ME)
上記がWM7で登場が見込まれる2つのエディションだ。BEはWM7の機能省略バージョンで、OEMがUIなどを自在にカスタマイズできる点が特徴だ。ちょうどHTCが自社のAndroid端末で"Sense"と呼ばれるUIをオーバーレイ形式で採用したのに近い。
全体にスペックが低めの携帯をターゲットにしており、余分な機能もないため消費電力も低く、OEMに対して自由度が高い点がアピールポイントになる。AndroidやLiMoなどのLinux携帯に見られる傾向だ。また、クラウドとの自動同期機能を持っており、外部からでもつねに最新ファイルやデータを参照できる。HTC HD2という端末が同バージョンへのアップグレードを10月または11月になるとを予告しており、WM7自体の登場時期がこのタイミングになる可能性が高い。
もう一方のMEがいわゆるWindows Mobileの本流にあたるもので、2月のMobile World Congressで正式公開されることになるとみられる。HD動画再生やZuneライクの音楽プレイヤー機能、TVストリーミングなどが可能だと思われるが、このほかに下記の機能のサポートが見込まれているようだ。
・Silverlight
・Mediaroom
・XBox Live(対応ゲームの登場か?)
・Facebook/Twtter(Xbox Live風のUI)
・Zune Music
Silverlightに加え、Microsoftが持つメディアやコミュニケーション技術がすべてWM7に集結することになる。このほか「Orion」と呼ばれるクラウドベースの位置情報プラットフォームが用意され、GPSやアンテナを利用した位置情報検索が高速化される。記事によれば、コールドスタート時で1秒以内に300メートル、ホットスタート時で0.25秒以内に10メートルの精度と反応速度で位置を特定可能だという。このOrionはWindows Sensor and Location Platformの一部として利用されるようだ。
このMEを搭載して登場が見込まれるのがHTC ObsessionとLG Apolloで、どちらも1.0GHz超のクロック周波数を持つQualcommのSnapdragonをメインプロセッサとして搭載し、WXGAクラスの解像度の液晶を採用するなど、HD動画の再生も容易なミニPC的な性能になっている。HTC ObsessionがGSM系のHSDPAをサポートする一方で、LG ApolloはGSM+CDMAの両対応となっており、世界中で利用できる「World Phone」となっている。スペックの詳細等についてはWM Expertsの記事を参照してほしい。