米Intelが2009年第4四半期(10-12月期)の決算を発表したことを受け、同社の日本法人であるインテルは15日、国内向け記者会見を開催した。同社取締役副社長の宗像義恵氏が、決算内容の報告をするとともに、2010年に向けて、日本国内の市場を対象とした取り組みも紹介されている。
決算の詳細な内容については、米国発のこちらの記事を参照いただきたい。主なトピックとしては、PC市場の回復の後押しを得て、前年同期比875%増の大幅増益となったこと。AMDと法的紛争の終了で合意し、和解条件としてAMDに12億5,000万ドルを支払っていることなどがあげられる。
なお、同決算の中で、製品価格の下落傾向や、Atomプロセッサの普及などで上昇しづらくなっていたマイクロプロセッサのASP(平均販売価格)が、10-12月期には上昇に転じたことも公開されている。このASPの上昇は、宗像氏によれば、「ワールドワイドで、例えばサーバでは新型Xeonの貢献が大きく、コンシューマPCでは、Netbookから新たなモバイル・サブノートPC(CULV)へのシフトがあった」など、新たに投入した製品の好調を中心に、いくつかの要因が組み合わさった結果であるとされた。
2010年、ワールドワイドのIntel全体としては、既存分野にとどまらない(具体的にはデジタル家電など)、インテルアーキテクチャ(IA)の広範な市場へのひろがりを目指す。そのためにも、同社が「チックタックモデル」と呼ぶマイクロプロセッサのイノベーションサイクルを推し進め、当面は22nmプロセスの計画通りの立ち上がりを目指す。量産が始まったばかりの32nmのプロセッサ製品についても、現時点で既に多数のPCメーカーが採用に踏み出しており、2010年は32nm搭載製品による市場の盛り上がりが期待できるとされている。
そして、日本国内の市場を対象とした取り組みについて。宗像氏は、2010年の取り組みとして、「国内PC市場の拡大」、「国内PCメーカーの海外展開の支援」、「PC以外の新規分野、事業への拡大」の3点に重点を置くと発表した。
まずは「国内PC市場の拡大」について。現在までに、コンシューマ製品が健闘していることが確認され、さらに、これまで台数拡大に大きく寄与したNetbookに続くように、新たにモバイルサブノートPC(CULV)も立ち上がった。宗像氏は、「日本市場ではモビリティの需要がまだまだある」と語り、その開拓のためには、無線ブロードバンド環境のさらなる整備が重要であるのだと述べた。昨年はWiMAXのサービスがスタートしたが、UQ WiMAXの基地局設置は計画を上回るペースで進んでいるという。同社では、このWiMAXを支援することで、無線ブロードバンド環境の発展を実現するのだと説明がされた。
コンシューマ以外でも、Intel Xeon 5500が好評であることが紹介された。約4年前のシングルXeon比で年間電気消費量を90%削減可能で、ほぼ8カ月で投資を回収できるという投資効率の高さ、環境負荷の低さから、今後も好調に推移すると見込んでいるのだという。ほか、同社が長年取り組んできた医療分野や教育分野も、有力な市場として期待できることも紹介された。特に医療分野では、コーポレート向けにノウハウを磨いてきたvPro技術の製品が、既に実際の成果を見せ始めているのだという。
「国内PCメーカーの海外展開の支援」について。まず現状として、新興国や新興地域と呼ばれる地域において新たな市場が立ち上がり、これが大きく伸びている。インテルが、こういった地域における日本メーカーのビジネスをサポートするのだとしており、具体的には、「開発支援だけでなく、実際の販売支援でも貢献して行きたいと考えている」(宗像氏)のだという。
「PC以外の新規分野、事業への拡大」について。MIDやNetbookに続き、デジタル家電など、インターネットに繋がる機器が年々増え続けている。インテルでは、2015年には100億台以上の機器がインターネットにつながると見ているそうで、パーソナルなインターネット機器はまだ拡大するのだと説明する。その中で、2010年は、まずは車載機やデジタル家電へのIAの普及に注力するのだとされた。家電はもとより、車載機でもカーナビシステムなど、日本は世界をリードする存在であり、インテルとの連携に大きなチャンスが存在すると訴えられていた。
最後に宗像氏は、2010年のスタートにあたり、コンシューマPC市場が持ち直し、成長が2010年も続くという調査会社のデータなども紹介しながら、リーマンショックなど暗い影が落ちた昨年に比べ、とても明るい状況でスタートが切れているということを強調した。2010年に向けての新しい技術が、例年に無くアグレッシブに登場してきており、それがエンジンとなって成長を後押しするのだという。宗像氏は、これはインテルに限ったことではなく、メーカー各社にも同様のことだと述べる。同氏は、「新しい技術は、特に日本企業の得意とするところだと考えている。我々は、そんな日本企業と協力して、市場発展に繋げていく」と述べ、会見を締めくくった。